第18章 相愛 × 真実 ★
『…イルミっ、わ、たし、イルミのこ、と…っ、好きだから、あっ…無理矢理でも、っ…嬉しいよ…っ』
「…っ」
サクラの言葉に、イルミの手がぴたりと止まった。
『イルミ?どうし「……なんで」』
『え?』
「なんでお前はそうなの?」
サクラに覆い被さった状態で俯いたままのイルミ。顔は見えないが、声が少し震えている。
「オレのこと好きとか、何でそんなこと言えるの?」
『イルミ…』
「じゃあ早くオレのところに来て、早くそう言えばよかったんじゃないの?なのに、なのに…別の男と…」
普段の冷静なイルミとは違う、饒舌で感情的な彼がそこにいる。
『イルミ、ごめんなさい…。私がいけなかったの…でも、でもね!イルミのこと好きなのは嘘じゃないんだよ。』
「…あれからずっとどこに行ってたの?」
『うん…ちゃんと話すね。だから、聞いてくれる?』
イルミから返事はなかったが、はぁ、というため息と共にサクラの上から移動してベッド端に座ったことで、話を聞いてくれるとわかった。
『ありがとう、イルミ。』
サクラもはだけた服を整えてイルミの隣に座り、とつとつと話し始めた。
『あのね、私、自分がいた世界に戻ってたの。』
「…は?」
『いきなりなんだそれって思うよね…。イルミにとってはおかしな話かもしれない。でも全部本当のことだから聞いて欲しいの。』
「…それで?」
『私の世界で、私にとってイルミはどういう人でどんなに愛しい人だったか、元の世界に戻って思い出したんだ。それで、どうしてもそれをイルミに伝えたくてこっちに戻ってきたの。』
「サクラ、全部話すんだね?」
突然現れた猫ネーロ。イルミは条件反射で鋲を飛ばす。
しかしネーロは軽々と避けてしまい、イルミが舌打ちをひとつ打つと再度鋲を構える。
『わぁ!イルミ!待って待って!』
「…こいつ、何?」
『この子はネーロ。今は猫の姿だけど本当は人間だよ。私をこの世界と私の世界を行き来させた人。』
「へぇ、じゃ殺してもいい?」
『だめ!こっちに戻ってこられたのもネーロのおかげなんだから!』
「ちっ」
『もう…ネーロ、全部話すよ。いいよね?』
「もちろん。それが目的だったからね。」
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