第17章 新生活 × 念
─────3週間後…
『よし、誰もこれが能力だなんて思わないでしょ!』
どこぞのアニメの効果音が付きそうなくらいそれを高々と上げて、
『セラム・フリュイ(血の果実)!』
しーん…
サクラの声が虚しく部屋に落ちた。猫ネーロは退屈そうに顔を洗っている。
『うん!我ながらセンスなし!』
「本当にね。もうちょっとなんとかならなかったの?」
『ほっといて!』
「にゃ」
────〈 能力解説 〉────
セラム・フリュイ(血の果実)
サクラの好物である一口ゼリーひとつひとつに、様々な能力を込めたもの。
赤ゼリー(いちご味)→脚力強化
黄ゼリー(パイナップル味)→視力強化
青ゼリー(ソーダ味)→腕力強化
緑ゼリー(メロン味)→聴力強化
紫ゼリー(ぶどう味)→身体を透明にする
他にも数色あり、それぞれ能力が異なる。
後々登場予定。
同色のゼリーを食べても効果は2倍にならないが、異なる色のゼリーを食べるとそれぞれの能力を得られる。
とにかくチートな能力です。
────〈 解説終 〉────
『よし!ゼブロさんに連絡もしたし、街に出かけよう!美味しいカフェ探そ♪』
どんな世界であっても新生活はうきうきするもの。知らない街を散策して、お気に入りのお店や場所を探すのがサクラは大好きだった。
『ネーロ行くよー』
猫ネーロは毛繕いもそこそこにサクラの肩に乗った。
────……
『あっここのお店かわいい!』
近くの街に出て数時間、サクラは散策をしながら気になるお店にところ構わず入っていた。ネーロはさすがに疲れてしまい、サクラのバッグの中に無理やり潜り込んで睡眠中。
『うわぁここカフェなんだ!かわいーい!』
「いらっしゃいませー!お一人様ですか?」
『はーい……っ!?』
店員さんに案内してもらおうとしたところで、窓際に座ってる人物を見て固まった。
『う、そ…』
その声で窓際にいる人物もサクラに気がついた。
『イルミ…』
「……」
いま1番会いたくない人がいた。彼が席を立ち上がるのを見てサクラはその店を出ようとする。
(だってまだ心の準備が…!)
「サクラ」
彼に名前を呼ばれる。