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君ノ為蒼穹に願ふ【薄桜鬼真改】

第4章 動乱【土方歳三編】


説教じみた事を言っていれば、何故か土方さんがため息を吐きながら苦笑いしている事に気が付いた。
何故、急に苦笑いをしたのだろうと疑問に思っていれば、土方さんは何処か懐かしい目を私に向けてくる。

「お前の口煩い所、姉貴に似てるな。流石、江戸の女だぜ」
「姉貴……土方さんの、お姉さんに私が似ているんですか?」
「口煩い所と、頑固な所がな。たく、まるで姉貴に口煩く説教されてる気分だ」

土方さんは、未だに懐かしそうにしながら私を見て苦笑している。
そんなにお姉さんに似ているのだろうかと、少しだけ不思議な気分になった。

「たく、なんで江戸の女は気が強くて口煩いんだか……」
「私が口煩くしてるのは、土方さんがお食事をちゃんと取られないからです!」
「わかった、わかった。明日はちゃんと食う」
「本当ですか?約束ですからね!」
「わかったから、お前は早く部屋戻って寝ろ」

苦笑しながら机へと向き直る土方さんを見て、私はため息を吐きながらも食事を取ってくれるという約束をしてくれた事にほっとした。
これで食事を取らずに倒れるという不安も無くなる。

明日の朝は、千鶴と私と井上さんが炊事当番。
江戸の味付けになるから、近藤さんはまた喜んでくれるだろうけど、土方さんは喜んでくれるかな。


❈*❈翌朝❈*❈

「あれ、土方さんの分作ったのかよ。千尋」
「うん。作ったよ」
「あの人、最近全然食べねえのに……」

朝餉のお膳を広間に運んでいれば、眠たげにしている平助君が何時も土方さんが座られている所にお膳を置いた私に驚いた顔をしていた。
最近、土方さんは【要らない】と言っているので、今日も言われるだろうに……と思っているみたい。

暫くすれば、他の幹部の人たちも広間に集まってきた。
その中の一人の沖田さんは、土方さんが座る所にお膳を置いている私を見て【やれやれ】と言わんばかり肩を竦める。

「千尋ちゃん。どうせ土方さんは食べないって、君も分かってるのに諦めないよね。今日の夜食も食べなかったでしょ?」
「いえ、食べてもらいましたよ」
「え?」
「ええ!?土方さん夜食、食べたの!?」

沖田さんは驚いたように体を固めて、側に居た千鶴は目を見開かせていた。

「え、千尋お前どんな方法で土方さんに食べてもらったんだよ!?」
「強行突破しただけだよ」
「「強行突破?」」
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