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君ノ為蒼穹に願ふ【薄桜鬼真改】

第4章 動乱【土方歳三編】


「いいから!食べてください!!」
「うぐっ!?」

お盆に置いてあったお皿からおにぎりを掴むと、私は勢いよく土方さんの口へと押し込んだ。
強く握り過ぎたせいなのか、おにぎりは少しだけへちゃげて土方さんの口の中に入っている。

「ふぁにするっ!!」
「先程も言いましたが!きちんとお食事をされないと体を壊されます!それでお仕事も出来なくなってしまうんですよ……それに、土方さんがもし倒れたりすれば近藤さんが悲しみます」

もしかしたら、叱責されるかもしれない。
叱責だけなら良いけど、もしかしたら罵倒されるかもしれないと思いながおにぎりから手を離す。
相変わらず、土方さんの眉間には皺が寄っていて不機嫌そう。

沈黙が流れた時、土方さんは大きくため息を吐いた。
そして、口に入っているおにぎりを手で取ると咀嚼を始めて、口の中に入っているおにぎりが無くなるとおにぎりへとかぶりつく。

「あ……」
「今まで、食べろ食べろって言ってくる奴はいたが……お前ぐらいだぞ。強行突破して口に突っ込んでくるのは」
「だ、だって……そうしなければ、土方さん食べてくださらない気がして」
「……まあ、だがお前の言う通りだな。食わずに倒れたら仕事が出来なくなっちまう。それに近藤さんにも迷惑かけちまうからな」

お仕事や近藤さんの事を心配するよりも、ご自分の体を心配してほしい。
だけど、どんな理由でもちゃんと食事を取ってくれた事に凄く安堵した。

「あ、煮物とたくあんもあります」
「ああ……」

眉間の皺は消えていないけれど、土方さんは黙々とおにぎりと煮物やたくあんを食べてくれた。
その間、私は今度から土方さんがお食事されない時は口に無理やり突っ込めば良いのでは?と考えていた。

(あ、でも……あまり強行突破ばかりしてたら怒られるかな……)

強行突破しなくても大丈夫なように、土方さんにはちゃんと食べてもらわなければ。
そう考えていれば、土方さんはお茶を飲み干してから湯呑みをお盆に置く。

「お茶、おかわり要りますか?」
「いや、要らねえ。もう夜遅いから、お前はさっさと部屋に戻って寝ろ」
「わかりました……土方さん、明日の朝餉はきちんと食べてくださいね」
「わかった、わかった」
「本当にわかっていますか……?ちゃんと食べないとダメですからね。人間の体は意図も簡単に壊れてしまうんですから」
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