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君ノ為蒼穹に願ふ【薄桜鬼真改】

第18章 修羅の轍【沖田総司編】


「あの……山崎さん。島田さんの様子はどうだったんですか?」

昨夜、風間千景によって攻撃された島田さんは意識を失っていた。
それからどうなったのかと思い、山崎さんへと聞けば彼は微笑みを浮かべる。

「打ち所が悪くて、気を失っただけだ。怪我は、打ち身程度で大したことはない。今後の隊務にも、特に支障はないだろう」
「……良かった」
「島田君も、言っていたよ。役に立てず申し訳なかった、とね」
「そんな事ありません!私こそ、島田さんに謝らなくてはいけないのに……」

あの夜、私が風間千景の元に向かうと言っていなければ彼は怪我をしなくて済んだのだから。
そう思っている時だった。

ふすまが開いて、珍しく機嫌が悪そうにしている近藤さんが入ってきた。

「おや勇さん、おはよう。……どうしたんだね?機嫌が悪そうだが。元々いかつい顔なのに、それじゃ迫力満点だ。雪村君たちも、怖がっているじゃないか」
「え!?いや、そんな……」
「そんな、私は別に……」
「別に、遠慮する必要はねえぜ。怖いなら、素直に怖いって言っとけよ」
「怖くありませんから!」
「そうです!」

確かに、いかついお顔をされているとは思ったけれど怖いとは思わない。
そう思いながら慌てて否定した。

「……それは、すまなかったな。他意はないから、許してほしい」

不機嫌な表情は消えたけれども、近藤さんは真顔のまま私たちに深々と頭を下げる。
何時もなら朗らかに笑いながら、『おはよう』と言う近藤さんなのに、今日はどうされたんだろう。

彼の様子がいつもと違う。
それに少しだけ不思議に思っていたのは私たちだけでなく、井上さんや原田さんたちも不思議そうに彼を見ていた。

「あの、お顔上げてください」
「謝らなくても大丈夫ですので。それより、何かあったんですか?」
「うむ。……すぐにわかることだから、伝えておこう」

近藤さんは表情を変えることなく、前置きをしながら広間に集まっている幹部の方々全員に告げた。

「西本願寺から、これ以上我々がここに留まるのは困ると言ってきた」
「それはつまり、我々にここから出ていけと……そういうことですか」
「いや、さすがにそこまで直接的な物言いではなかったが」
「まあ、いつかはそうなるんじゃないかと思ってはいたがね……。いやはや、しかし……困ったねえ」
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