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君ノ為蒼穹に願ふ【薄桜鬼真改】

第18章 修羅の轍【沖田総司編】


山崎さんが私の傍に駆け寄り、立たせてくれた。
その間にも、近藤さんと風間の戦いは続いている。
私という枷が無くなったため、ようやく全力を出せるようになったのか、風間の動きは先程までと全く違っていた。

「どうした?そろそろ息が上がってきたようだな」
「ぬう……まだまだっ!」

山崎さんは眉をしかめながらその様子を見待っていた。
だがやがて、私の方へと視線を向けてくる。

「雪村君、君は建物の中に隠れていろ。絶対に出てくるな。……いいな」
「で、ですけど……!」
「君がここにいては、局長も思うように戦えまい。千鶴君も建物の中に隠れている。だから、早く!」
「わ、わかりました。皆さん、どうかご無事で……!」

私はそう言い残すと、屯所の中へと駆け込む。
隠れろと言われたし、千鶴も隠れていると聞いたが……一体どこに隠れたらいいのだろうか。

そう思いながら走っている時、とある部屋の戸が開いているのに気がついた。
そこに飛び込もうとした時だ。

「っ!?」

何かに足を取られ、前のめりに倒れてしまった。

「きゃあっ!?」

思わず悲鳴を上げた。
だけど、派手に倒れた筈なのに全然身体が痛くない。
しかも、何か柔らかいものが下にある。

「ずいぶんと、大胆な登場だね」

身体の下から、声がする。
聞き覚えのある声だと思って目を開けた。

「お、沖田さん!?」
「まさか、いきなり押し倒されるなんて思わなかったなあ」

私の身体の下にはなんと、沖田さんの姿があった。
しかも私が押し倒すような体制であり、彼の顔が間近にある。

「ち、違うんです!悪気は無かったんです!これはその、偶然で……!!そう、事故みたいなものなんです!」

自分でも不思議なくらい必死に、弁解していた。

「事故ねえ……、まあいいけど。でもさ、僕の上ってそんなに居心地がいいのかな?」
「えっ?……あっ!?」

事情を説明することに必死になっていて、体制が変わっていなかったことに気が付く。

「ご、ごめんなさい……!」

私は慌てて沖田さんの上から飛び退く。

「すみません!すみませんでした!!本当に、申し訳ありませんでした!」
「そんなに何度も謝らなくていいのに。今の体制が、よっぽど不本意だったってこと?」
「え!?い、いえ、そういうわけでは……!」
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