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君ノ為蒼穹に願ふ【薄桜鬼真改】

第18章 修羅の轍【沖田総司編】


「言っとくが、そいつは人質にゃならねえぞ。そいつを盾に取ったところで、俺たちは何のためらいもなくーーてめえを斬る」
「元より、そんなつもりはない。貴様らごときに、人質など必要ないからな」

風間千景は嘲笑うように言葉をはく。
そんな彼を中心に、土方さんたちは徐々に間合いを詰めていった。

空気が張り詰めている。
辺りは緊張感が立ち込めていて、殺気さえ漂い息苦しささえ感じてしまう。

(私は、どうするべきなんだろう……)

このままなのはいけない。
そう思って私は、風間の腕から逃れようと必死にもがく。
手にも足にも精一杯の力を込めている。
だが、風間は顔色一つ変えない。

「……無駄だ。同じ鬼同士なら、男鬼の方が力は強い」
「っく」

そう言うと、風間は私を抱きかかえたまま、皆さんの輪を易々と突破してしまう。

(このままだと連れいかれる……!)

そう思った時だった。

「新選組局長、近藤勇である!いざ尋常に、勝負!」

力強い怒声が、夜の闇を切り裂くように響いた。
そこには刀を構えた近藤さんの姿。

「……行きがけの駄賃に、新選組局長の首をもらっていくか」
「そんなっーー!」
「雪村君、待っていろ!今、助けるからな!」
「こ、近藤さん……!気をつけてください!風間は、普通の人間とは違いますから!」
「わかっているとも!でやぁああああっーー!」

全身から闘気をみなぎらせている近藤さんは、風間へと挑みかかった。
凄まじい気合いと共に、大上段からの一刀が風間に見舞われる。

「……ふん」

風間は、涼しい顔をしていとも容易く一撃を受け流す。

「何の、まだまだーー!」

鋼と鋼がぶつかり合い、火花が飛び散る。
風間は息も切らせず、近藤さんの攻撃を受け止めるがーー。

「……人間にしては、まあまあだ。新選組局長の名は、伊達ではないということか」

流石の風間も、私を抱えたままでは思うように戦えないらしい。
近藤さんの一刀一刀を見切って受け止めるのが、どうにも精一杯のようだ。

「彼女を返してもらおう。でやっーー!」
「くっ……!」

近藤さんの勢いに圧され、風間が二、三歩退いた。
その時ーー。

「きゃっ……!」

私の身体は大きく投げ出される形となって、宙を舞う。
そして地面に倒れた矢先。

「大丈夫か、雪村君!さあ、立つんだ!」
「は、はい!」
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