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君ノ為蒼穹に願ふ【薄桜鬼真改】

第18章 修羅の轍【沖田総司編】


「千尋!?」
「いけません!絶対に君たちをここから出すなと、副長が仰せです」
「ですが、風間千景たちの狙いは私たち。流石に狙われているのが私たちなのに、皆さんばかりにお任せはできません。それに、私は風間千景と同じ鬼……同胞である私なら彼らを説得できるかもしれません」

説得なんて、そんな簡単なものじゃないかもしれない。 だけど同胞である私の言葉なら多少は、風間千景も聞いてくれるかもしれないと思ったのだ。

島田さんは私の事を困ったように見ながら、かなり悩んでいた。
だけどやがて小さく頷く。

「……そこまで言うのであれば、仕方ありませんね。ただし、俺は君の護衛役を申し付けられています。ここを出ると言うのであれば、俺も共に行きますが……構いませんね?」
「はい、大丈夫です。千鶴、千鶴はここにいて」
「でも!」
「大丈夫。すぐに戻ってくるから」

そして私は、島田さんに先導されながら境内へと出た。
辺りには隊士の方や風間千景の姿はなく、戦っているのはもう少し先の所のようだ。

早く向かって、風間千景を説得しなければ。
じゃないと怪我人も増えるし、何より千鶴が危険に晒されてしまう。

「雪村君、こっちです」

島田さんがそう言った瞬間だった。
目の前で何かがよぎったと思った時、島田さんが何かに気がついて声をあげる。

「ーーむ!?」

その瞬間、島田さんの大柄な身体が軽々と宙を舞った。

「ぐっ……!」
「島田さん!」

島田さんはそのまま土塀に叩きつけられて、打ちどころが悪かったのか地面に突っ伏したまま動かなくなってしまった。
あっという間の出来事に驚きながらも、慌てて島田さんの元に駆け寄ろうとした時ーー。

「どこへ行くつもりだ?」

耳元で、聞き覚えのある声がした。
この声が風間千景の声だと分かった瞬間、彼の腕が伸びてきて身体を引き寄せられる。

「っ!!は、離して!」
「やっと見つけたぞ。雪村千鶴の方は見つからなかったが……今宵はお前だけでもいい。俺と共にこい」
「……だいたい、何故私まで狙うんですか?私は純血ではないのに!」
「確かに、お前は純血の鬼ではない。だが、数少ない純血に最も近い誇り高き血を持つ鬼だ。そして、女鬼は貴重だからな。そんなお前が、このようなまがい物共の巣にいるのはそぐわぬ。……俺と共に来い」
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