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君ノ為蒼穹に願ふ【薄桜鬼真改】

第18章 修羅の轍【沖田総司編】


そして沈黙が流れる。
千鶴は自分が鬼だと知って、どう思っているんだろう。
そう思いながら彼女を見ていると、千鶴は何かを思い出したように笑みを浮かべた。

「そういえば千尋。お千ちゃんに【心に想う人がいるの?】って聞かれた時に頷いてたけど……もしかして、沖田さんのこと?」
「……えっ!?」

彼女の言葉に、私は目を見開かせた。

「えっと……な、なんで?」
「だって千尋、よく沖田さんを気にかけているし……。もしかしたらそうなのかなって」

これは誤魔化しようがないかもしれない。
私は少し俯きながら、沖田さんの事を思い浮かべた。
この気持ちが【好き】や【愛しい】というものなのか分からないが、私は沖田さんが気がかりで暇があれば彼のことを考えていた。

労咳の事もあるかもしれない。
だけど、それ以上に思うところがあった。
彼の傍にいたい……と何故か思ってしまうのだ。

「まだこれが、恋愛に関する気持ちなのかは分からないの。でも……沖田さんの傍にいたいってどうしても思ってしまうの」
「……そっかあ」
「千鶴は?いないの……そういう人」
「……ここにはいないよ」

千鶴は少しだけ目を伏せって呟く。
ここにはいない……つまり、新選組ではない人。
そう思った時、脳裏に浮かんだのは坂本さんだった。

「……まさか」

そう呟いた時だった。
外から刀がぶつかり合う音が聞こえて、その音に私たちは身体を跳ねさせる。

「雪村君たち、夜分遅く失礼します!」
「島田さん!?」

廊下から島田さんの声が聞こえてきて、それにも驚いてしまった。
慌ててふすまを開ければ、島田さんの表情は緊張した様子でありすぐに部屋へと入ってくる。

「何があったんですか!?」
「……はい。鬼たちが、屯所に襲撃をかけてきました」
「そんな!?」
「ええっ!?」

まさか、お千ちゃんたちが去ってすぐに風間千景達が襲撃してくるなんて。
その事に驚いていれば島田さんは緊張した面持ちのまま、私たちに話をしだす。

「奴らの狙いは君たちです。この部屋で、じっとしていてください」

確かに、じっとしている方が安全なのかもしれない。
でも、今外はどうなっているのかが気になり、外から聞こる刀同士がぶつかりあう音を聞きながら島田さんに呟いた。

「島田さん、私も行きます」
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