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君ノ為蒼穹に願ふ【薄桜鬼真改】

第18章 修羅の轍【沖田総司編】


「そうだぜ、わけがわからねえ!いきなり訪ねてきて、彼女達に会わせろなんて言い出すしよ」
「あんたら、こいつらの親戚か何かか?こいつらの方には、心当たりはねえようだが」
「……お千ちゃん、詳しく説明してくれる?」
「説明してくれないと、私たちも分からないしどうしたらいいか、分からないから……」

するとお千ちゃんは戸惑った表情をしながらも、何処か納得したように小さく頷いた。

「……まあ、そうよね。いきなりこんなこと言っても、わけがわからないわよね。わかったわ、順を追って説明するわね。ちょっと時間がかかりそうだけど」

それまで静かに話を聞いていた近藤さんは立ち上がると、お千ちゃんの元に歩み寄った。
そして私たちとお千ちゃんを交互に見てから、直ぐにお千ちゃんへと視線を戻す。

「我々は、席を外した方がいいかね?」
「いえ、同席していてください。あなた達にも関わりがあることですから」

そう言った後、お千ちゃんは幹部の方々をぐるりと見回した。
彼女のその表情はとても真剣であり、前に街で会った時とは雰囲気が違う。

あの時はただの町娘という雰囲気だった。
だけど今は、町娘の雰囲気ではなく、少しだけ威圧感も感じる様な雰囲気を身にまとっている。
そんな彼女は再度、幹部の方々を見回してから話し始めた。

「あなた達、風間を知っていますよね?何度か刀を交えていると聞きました」
「……なぜ、そのことを知ってる?」
「この京で起きていることは、大体、私の耳に入ってくるんです」

お千ちゃんの言葉に、土方さんは静かに瞼を閉じた。
そして納得したかのように、言葉をつぶやく。

「なるほど。おまえも奴らと似たような、うさんくさい連中の一味ってことか」
「あんなのと一緒にされるのも不本意だけど。でも、遠からず……かしら」
「……まあいい、風間の話だったな」
「あいつらは、池田屋、禁門の変、二条城と……。何度も俺たちの邪魔をしてきた、薩長の仲間だろ」
「仲間って言うより、彼らは彼らで何か目的があるみたいだったけどね」

風間千景、天霧九寿、不知火匡。
彼らは何度も新選組の前に立ちはだかり、新選組と刀を交えている。
厄介な相手であり、新選組の敵である存在だ。

「どっちにしても、俺たちの敵ってのは確かだ」
「彼らの狙いが、そこにいる彼女達だということも?」
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