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君ノ為蒼穹に願ふ【薄桜鬼真改】

第18章 修羅の轍【沖田総司編】


「はい……」

山南さんまでいる。
しかも新選組の幹部隊士の方々が勢揃いしている事にも驚いたけど、更に驚くことがあった。
私たちの正面に座っている、ある人物に対してとても驚いてしまったのだ。

「千鶴ちゃんに千尋ちゃん、お久しぶりね。ごめんなさい、こんな夜遅くにお邪魔しちゃって」
「お千ちゃん……?」
「なんで、お千ちゃんがここに……」

何故か新選組の屯所である広間に、お千ちゃんがにこやかに微笑みながら座っていた。
彼女は土方さんが言っていた来客なのだろうけど、何故ここにいるんだろう。

そして、彼女の隣には見知らぬ女性がいた。
忍び装束を身にまとった、容姿の整った綺麗な女性であり、彼女を見ているとお千ちゃんが説明をしてくれる。

「彼女は、私の連れよ。まあ、護衛役みたいなものだ思ってちょうだい」
「護衛役……?」
「お千ちゃんの、護衛役……」

戸惑いながらも、幹部の方々へと視線を向けた。
すると土方さんがゆっくりと口を開いて、言葉を発した。

「……おまえらに、どうしても話してえことがあるんだとよ」
「……話?」

話というのは一体なんだろう。
そう思いながら、視線をお千ちゃんへと戻していると千鶴が彼女に声をかけた。

「お千ちゃん。今日は、一体何の用事でここに?」

千鶴の言葉に、先程までにこやかに微笑んでいたお千ちゃんの表情が変わった。
真剣な眼差しで私と千鶴を見据えながら口を開く。

「用というのは、他でもないわ。ーー私、あなた達を迎えに来たの」
「迎え……?」
「迎えにきた、って……どういうこと?言っている意味が、よくわからないんだけど……」
「そうね。説明すると長くなるんだけど……何から話せばいいかしら」

私たちの言葉に、お千ちゃんは少しだけ戸惑った表情になった。
何から話そうかと悩んでいるようで、そんな彼女に渡したちは戸惑いが隠せない。

そんな時だ。
お千ちゃんの隣にいた、忍び装束の女性は真剣な表情で声をかけてきた。

「もはや、一刻の猶予もありません。すぐにここを出る準備をしてください」
「出る準備って、どういう事なんですか?突然…」
「ど、どうして私たちがあなた達と一緒に?」

動揺しているのは私たちだけじゃなかったようだ。
様子を見ていた永倉さんが、言葉を投げてきた。
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