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君ノ為蒼穹に願ふ【薄桜鬼真改】

第17章 亀裂の響き【沖田総司編】


人混みの中、千鶴によく似た女性がいた。
彼女は前に浪士に絡まれている所を沖田さんが助けた、南雲薫という女性。
そして、彼女はもしかしたら原田さんの制札を警護する仕事を邪魔した可能性がある人。

そう思っていれば、彼女はあっという間に人混みの中に消えてしまった。
聞きたいことがある、彼女には幾つか聞かなければいけないことがある。

「南雲さん!」
「ちょっと、千尋ちゃん!どこに行くつもり?」

後ろから沖田さんに呼び止められたけれど、私は足を止めることはなく、振り返ってから大きな声を出した。

「すみません、沖田さん!彼女には幾つか聞かなければいけないことがあるんです!すぐに戻りますから!」
「あ、ちょっと、千尋!」
「はあ……。勝手な行動は慎めって、いつも言ってると思うんだけど。面倒を見せられるこっちの身にもなってほしいな。それに、やっぱりあの子大人しくないよ」

後ろで沖田さんが何かを言っているのが聞こえたけれど、それを気にせずに南雲さんを追いかけた。
そして走りながら彼女を探していれば、ようやく南雲さんの後ろ姿を見つけた。

「南雲さん!」
「あなたは……」

私が声をかければ、南雲さんは驚いた表情を見せた。

「どうなさったんです?そんなに息を切らせて」
「……貴方に、聞きたいことが幾つかありまして。私の事、覚えていますか?」
「ええ、覚えていますよ。新選組の沖田さんと一緒にいられた人ですよね」
「……南雲さん。前に私と一緒にいた貴方とよく似ている子がいましたよね?以前、新選組の隊士の方が三条大橋で、その子とよく似た人がいたと聞きました。それはもしかして、貴方でしょうか?南雲さん」
「さあ……。三条大橋は普通に通るところですけど」
「そうですが……」

問題はその三条大橋に夜、通ったかどうかなのだ。
そう思っていれば、南雲さんは何かを見透かしたような目で私を見てきた。

「もしかして、あなたがお聞きになりたいのは……」
「え?」
「夜にその場所へ行ったことがあるかどうか……、ではありませんか?」

私の言葉を遮り質問してきた彼女の目を見開かせた。
そんな質問をしたということは、もしかしたらあの夜原田さんを邪魔したのは彼女で間違いないかもしれない。

「南雲さん、やっぱり貴方……あの夜」
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