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君ノ為蒼穹に願ふ【薄桜鬼真改】

第17章 亀裂の響き【沖田総司編】


彼の言葉に千鶴ははっとした表情になり、周りを見渡しながら恥ずかしそうに顔を俯かせた。
町の人たちは、はしゃいでいた千鶴を怪訝そうな顔で遠巻きで眺めている。

新選組はまだ京の人からは良く思われていないせいか、私達もたまに怪訝そうに見られることは多々ある。
しかも千鶴のようにはしゃいでいれば、尚更なのだ。

「……き、気を付けます」
「なんだかさ、千鶴ちゃんより千尋ちゃんの方が大人しくてお姉さんみたいだよね」
「よく、言われます……」
「で、でも私は別に大人しくはないですよ?」
「うん。確かに大人しくないよね、君」

なんだか、沖田さんの言葉に複雑になってきた。
すると千鶴は話題を変えようとしたのか、沖田さんに声をかける。

「あっ、沖田さん」
「何?」
「そこの細い路地の辺り、私たちを見てこそこそと去っていく浪士たちが居たみたいですけど……」
「そんなの、いちいち気にしてもしょうがないでしょ」
「……いいんですか?」
「もし本当に尊攘派の浪士だったら、もっと堂々としているはずだよ」
「確かに……。よく堂々と自分たちが尊攘派の勤皇の志士だって言って歩いてますよね」

自分たちで言って歩き、よく新選組の方に詰められている姿を見る。
堂々としているのは良いことなのかもしれないけど、逆に堂々としすぎているのは良くない気がした。

「そう、変に堂々としてるからね。だから、僕らの姿を見て慌てて逃げるような連中は正直言って雑魚だよ、雑魚」
「はあ……」
「まあ、僕たちに絡んでくるほど度胸がある浪士なんて、今の京にはいないと思うけどね」
「新選組も、京ではすっかり有名になりましたもんね。その羽織をきてると、すごく目立ちますし」
「いい意味でも、悪い意味でも目立ちますよね……」
「確かにね。目立って困ることもあるし」

浅葱色の羽織は、着ていれば一目で新選組と分かるので便利な事も多い。
だけど、派手で目立ちすぎて隊内では賛否両論が起きている。

特に伊東さんは、この浅葱色の羽織はお洒落じゃないからと反対しているし未だに着たがらない時もある。

「……そういえば、伊東さんはもう京に戻ってきているんですか?」
「そうみたいだね。別に、帰ってこなくても良かったんだけど」
「……駄目ですよ。そんなこと言っては。確か、新しい隊士さんを募集しに行ったんでしょう?」
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