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君ノ為蒼穹に願ふ【薄桜鬼真改】

第16章 暗闇の音【沖田総司編】


確かに、私より千鶴の方がいいのかもしれない。

「……わかりました」
「土方さん。その代わりなんですが」
「なんだ?」
「千鶴を危険に晒さないでください……」

じっと土方さんの目を見れば、彼は鼻で小さく笑う。

「そんな警戒しなくても、危険な目に晒すつもりはねえよ」

その言葉を信用してもいいのだろうか。
そう悩んでいれば、近藤さんが頷きながら言葉を発した。

「よし、これから俺は、会津藩の公用方に事情を説明してこよう」
「とりあえず、今度どう動くかの割り振りを決めねえとな。屯所を空にするわけにゃいかねえしーー」
「僕は、近藤さんについて行きますよ」
「おい、勝手に決めるんじゃねえ。こういう荒っぽい役目は、おまえが適任だろうが」
「そんなこと言われても、僕、あの坂本って人、嫌いですし。本人もわかってて、恨みを買うようなことをしてるんでしょう?わざわざ助けてあげる必要はないんじゃないですか?」

沖田さんは嫌そうにしながら呟けば、土方さんは苦い表情を浮かべた。

「あのな、俺だって別にあの男を助けてえわけじゃねえが、色々と事情ってもんがーー」
「わ、わかった!それじゃ総司は俺と一緒に行くことにしよう!」
「ったく、どこまで甘いんだよ……」

土方さんはため息を吐き、近藤さんは苦笑いを浮かべる。
確かに近藤さんは何だかんだ言いながらも、沖田さんにかなり甘いところがあった。

「原田、それから島田、おまえらは屯所で留守番しててくれ。……俺たち全員が屯所を空けてると、怪しむ奴らがいるからな」
「ああ、わかってるぜ」
「皆さん方、くれぐれもお気を付けて」
「それと、雪村妹。お前も留守番だ」
「わ、私もですか……!?」

てっきり千鶴が行くから、私も行くのかと思っていたので驚いてしまう。

「おまえ、伊東に気に入られてるだろう。変に怪しまれそうになったらそれとなく丸め込んでろ」
「ええ?千尋ちゃんにそんな事できますかね?その子、嘘つくの苦手そうなのに」
「別に嘘をつけとは言ってねえよ。ただ、丸め込んでいればいいんだよ」
「は、はあ……」

そして、私は屯所で原田さんと島田さんと留守番に。
千鶴と土方さん、斎藤さんに永倉さんと平助君達は屯所を出て坂本さんが滞在しているであろう寺田屋へと向かったのだった。
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