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君ノ為蒼穹に願ふ【薄桜鬼真改】

第16章 暗闇の音【沖田総司編】


「……ありがとう。それに……今から二条城に行っても、間に合わないだろうしね。本当、間が悪いなあ」

まるで不貞腐れた子供のような言い方。
だけど沖田さんは、私の言葉を受け入れてくれたらしい。

鬼の事や色んなことが気になってはいる。
だけど、今はそんなことよりも沖田さんが心配だった。
そして私は、夜が白み始めるまでずっと、背を向けて寝込む沖田さんの姿を見守り続けたーー。


ーーそれから。
全員が警護から戻ってすぐ、主立った隊士の方々が集められて話し合いが始まった。

……二条城二現れた三人の男たち。
風間千景、天霧九寿、不知火匡。
彼らが【鬼】を名乗ったのもさることながら、遭遇した状況かな考えて、三人が薩摩や長州と関わっているらしいこと。

薩摩藩は外様藩で一番力がある藩。
そして長州といえば表立って幕府に敵対している上、朝敵とされている藩だ。
彼らがそれぞれの藩の意を受けているのかどうか分からないけれど……。

迂闊に手を出せない相手には違いない。
そしてもう一つ問題なのは、三人が私と千鶴に近付いてきたこと。

「千鶴に近寄らせないようにしないと……」


それから数日のことだった。


「……失礼します」
「失礼します……」

私と千鶴は土方さんに呼ばれて、広間の方へと向かうとさこには幹部隊士の方々が揃っていた。

「やあ、こんな夜遅くに呼び出して、すまなかったな。そこに座ってくれ」
「いえ、そんな……」

幹部の方々が揃っているということは、重要な話し合いをしていたということだろうか。
そう思うと少しだけ緊張してしまうが、私と千鶴は促された場所へと腰を下ろした。

「聞きてえことってのは、他でもねえ。おまえらの知り合いとかいう土佐浪人、坂本龍馬って男についてだ」
「坂本さんですか?一体何を……」
「……あの男は、土佐勤王党という尊攘過激派の生き残りだということだ。方々で、尊皇攘夷活動を行っているらしい」
「尊皇攘夷活動……?」
「えっ?ですけど……あの方は、幕府の海軍で黒船の操縦法を習っていると言っていました。それなら、幕府の味方なのでは?」

私もそう聞いた。
坂本さんは幕府の味方の筈なのに、尊皇攘夷活動もしていると聞いて混乱してしまいそうになる。

「ああ、それも本当だ。どういうわけか知らねえが、潜り込んで上手くやってたらしい」
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