第15章 戦火の行方【沖田総司編】
沖田さんのにこやかな笑顔を見て、私は少し複雑な気分になってくる。
【斬る】や【殺す】だのを日常に言っていたり、言ってくる沖田さん。
(この人にとって、【人殺し】が軽いものか重たいものか、少しもわからないなぁ……)
そう思いながら沖田さんを見ていれば、一人の子供が声を上げた。
「新選組なんて変な奴ばっかり。俺らが命令される筋合いはないよ」
「た、確かにそうかもだけど……」
子供の意見が正論に聞こえて、私は少しだけ納得しかけてしまう。
「悪人というわけじゃないと思うけど……でも、確かに乱暴者は多いし……」
「でしょ?」
「う、うう……」
「しかも新選組はよく島原通いしてるって父ちゃんが言ってた!」
「そ、それは……」
私の脳裏に浮かんだのは原田さん、永倉さん、平助君の顔だった。
さっきの事もあって否定ができない。
新選組の中には少なからず、模範的な人も存在はしているけど、やっぱり外からはそう見られてしまっているのかも。
「もしかして千尋ちゃん、すごい真面目に考えてる?」
「だ、だって私、新選組の皆さんにお世話になっている身ですから、弁護はしたいんですよ……」
「本当のことばかり言われて、言い訳のしようがない感じ?」
「……そう、ですね……」
「あはははっ!千尋ちゃん、君ってちょっと素直すぎるよ」
「な!笑わなくてもいいじゃないですか!」
可笑しそうに笑いだす沖田さんに、私は少しだけムッとした。
「そんなに慌てないでよ。別に責めてるわけじゃないから。むしろ全面的に同意かな。新選組は悪い印象を持たれても仕方ない集団だと思ってるし」
沖田さんの言葉に私は小さく息を吐く。
そんな事言っちゃって大丈夫なのだろうかと……。
「ほら、やっぱり新選組って悪い奴らの集まりなんだろ?」
「わ、悪くは無いよ……!怖い人は多いけど悪くは無いと思うけど……!」
「怖い奴が善人なわけないだろ。むしろみんな悪人面してるし」
「そ、そうかな……悪人面……」
「ほら、例えば土方さんとか。いつも厳しい顔してるよね?眉間に深い皺寄せてさ。それに山南さんだって、笑顔が消えるとかなり怖い形相になるよ?」
沖田さんまで子供と一緒になって言い出すから、私はますます困ってしまう。
でも確かにそのお二人は怖いのは同感できてしまう。