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君ノ為蒼穹に願ふ【薄桜鬼真改】

第15章 戦火の行方【沖田総司編】


ー数日後ー


「うん。あと少しぐらいかな」

私は中庭にて掃き掃除をしていた。
最近は動くことも自由になってきて、雑務をこなすぐらいならば部屋を出ても良いとお許しが出ている。
なので、巡察に同行できない日は雑務やお手伝いをしている事が多くなった。

「よう、千尋ちゃん。今日も精が出るなあ」
「永倉さん……こんにちは」

声をかけられた私は、動かしていた手を止めた。

「そろそろ日も暮れるし、適当に終わらせとけよ」
「ほんと真面目だよなぁ、千鶴と千尋。毎日こんな遅くまでさ」
「原田さんと平助君もこんにちは。三人お揃いですが、お出かけですか?」
「ま、俺らもお務めにな」
「お務め……?」

隊服を身につけていないのにお務め。
その瞬間、私は彼らが何処に行こうとしているのかが分かった。

「まさか……」
「ああ、島原までちょっとな。朝には帰るから心配いらねえ」
「い、一応言っとくけどな。もちろん呑むだけだせ?女目当てで行きたがるのは新八っつぁんくらいだから!」
「おい平助。何も女の子の前で本当のこと言う必要ねえだろ」
「……本当のこと、ですか……本当のこと」
「そ、それは……なあ!!」

永倉さんは焦ったようにしながらも、笑顔で誤魔化そうとしていた。

「とにかく後は頼むわ。土方さんが俺らを探してたら、上手く誤魔化しといてくれ」
「え!?ご、誤魔化すって……!?」

難題を置いていかれたと思ったが、原田さんたちは直ぐに行ってしまった。

「……なんで、私が。ううん、掃除を終わらせないと」

私はため息を吐き出しながら、掃除を続けている時だった。

「……ん?」

ふと、何処からか騒がしい声が聞こえてきた。

「なんだろう……?子供の声?」

子供たちの騒いでいる声。
私は首を傾げながらも、竹箒を片付けてから直ぐに表のほうへと急いだ。

御屋敷の玄関の方に、十人ほどの子供たちがいた。
その中央には何故か沖田さんまでがいる。

「沖田さん……!?」
「あれ、千尋ちゃん。君が玄関の外にでてくるなんて珍しいよね」
「それはそうですが……沖田さんは何されているんですか?この子たちは?」
「あ。誘拐とかじゃないし、安心してくれていいよ?」
「そこは疑っていませんよ」
「そう?ちょうど暇だったから、遊んでもらってるとこ」
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