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君ノ為蒼穹に願ふ【薄桜鬼真改】

第15章 戦火の行方【沖田総司編】


「今は、幕府が神戸に開いてる海軍操練所って所にいてな。京にはその関係で、ちょいちょい顔を出しにきてるんだ」
「じゃあ、幕府の味方なんですか?」
「ま、そんなところだな」

本当に幕府の味方なんだろうか。
そう思いながら私は坂本さんを観察するように見た。
だけど本当に幕府の味方ならば、新選組の皆さん方の敵では無いということ。
その事に少しだけホッとしてしまう。

安堵していたのは千鶴も同じようで、安心したような表情を浮かべていた。
それから坂本さんへと千鶴が質問を投げかけた。


「海軍操練所といつのは、何をしている所なんですか?」
「船の操り方を学んでるんだ。つっても、その辺のちっさな漁船じゃねぇぞ。黒船だ!」
「黒船?十年前、ペルリが乗ってきたという船ですか?」
「その黒船を学ぶところですか?」
「そう!そいつを俺たち日本人で操れるようにする為の所だ。学ぶって言い方も正しいな」

黒船来航というのは、小さい頃だけれど記憶にある。
かなりの騒ぎになったと言われていて、異国人であるペルリの事も話しているのを耳にしたことがあった。

「……私たち日本人にも、扱える物なんですか?」
「確かに……扱えるようなものなんでしょうか」

黒船は見たことがない。
だけどその船は鯨のように大きいときいたことがある。

「扱えるに決まってるんだろうが。西洋人だろうが日本人だろうが、頭の中身はそう変わらねえよ」
「へえ……」
「そういうものなんですかね」

感心したように呟いていれば、坂本さんは熱が籠った様に話し出した。

「船はいいぜ。特に、新型の蒸気船はいい。荷物を普通の半分以下の日数で運べるし、倍以上に積むことができる」
「すごいですね……」
「へえ……」
「だろう?物が動けば、金も動く。蒸気船がありゃ、大金持ちになれるってことだ。今、海を支配するイギリスって国は世界一の海賊国家だからな!戦をするにせよ、商売するにせよ、これからは蒸気船の時代だぜ!」
「は、はあ……」

なんだか蒸気船の話になると、人が変わったように話し出したと思いながら私と千鶴は唖然としたいた。
早口でまくし立てる坂本さんにかなり戸惑ってしまう。
すると、坂本さんはふと、我に返ったように呟いた。

「……お前達は、良い奴だな。人を騙せる性分じゃない」

突然坂本さんはそう呟いた。
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