第15章 戦火の行方【沖田総司編】
沖田さんは何も言わずに私を見つめてくる。
ずっと見られてしまい、私はそれが気恥ずかしくなりながら視線を逸らした。
「余計な詮索をしました。ごめんなさい·····」
もしかして、余計な詮索をしたから見られているのかもしれない。
そう思いながら謝罪をすれば、沖田さんは首を左右に振った。
謝ったことにたいしての否定の動作なのか、山南さんのことについての否定の動作なのか。
よく分からない彼の動作に私は首を傾げていれば、彼は笑みを深めていた。
「君って、ちょっと変だよね」
「·····変!?」
突然の言葉に私は思いっきり眉間に皺を寄せた。
「本当に変だよ。僕のことなんて心配する必要ないのに。·····怪我をしたのは自業自得なんだから」
「自業自得だから、心配しないとはなりません」
「·····千尋ちゃん」
「どんな理由でも怪我をされたら、心配します」
私は深く眉間に皺を寄せながら、きっぱりと言った。
どんな理由があっても、どんな事があっても知っている人が怪我をすれば心配するに決まっている。
彼は私の顔を少し驚いた顔をしながら見ていたけれど、やがて私から視線を逸らして空を見上げた。
「今日の空、綺麗だよね」
「え·····?は、はい·····」
私も空を見上げて、少しだけ目を細める。
「ありがとう、千尋。心配してくれて」
「え?」
「ありがとう」
らしくないと思った。
この屯所に来てから、彼に素直にお礼を言われるなんてまずなかったのに。
「今日の沖田さん·····なんだか変です」
「そうかな?もしそうなら、君に感化されたのかも」
「·····それって、私が変だって言いたいんですか?」
「うん」
沖田さんは視線を私の方に向けて、柔らかい笑みを浮かべていた。
「君って変だよ、千尋ちゃん」
あれから、出陣していた近藤さんたちが戻ってきた。
徴収の過激派たちが御所に討ち入ったこの事件は、後に『禁門の変』と呼ばれることになる。
新選組の動きは後手に回り、残念ながら活躍らしい活躍は出来なかったと聞いた。
味方同士の間で情報の伝達が上手くいかず、無駄に時間を浪費したらしい。
けれど、戦場で不思議な出会いもあったと聞かされた。
御所の防衛二向かった新選組の各隊は、それぞれ手強い敵と遭遇したらしい。