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君ノ為蒼穹に願ふ【薄桜鬼真改】

第15章 戦火の行方【沖田総司編】


中庭に出ると、真夏と言うのに風が妙に涼しい。
部屋にいるよりも中庭にいるほうが涼しくて過ごしやすいと思いながら歩いていれば、沖田さんを見つけた。

木陰に一人で座っている。
そして彼はぼんやりとしながら、夏空を見上げていて私も釣られて空を見上げた。

(綺麗な青空·····)

雲が少ない青空は綺麗。
それに、こんなふうに空を見上げたのは久しぶりかもしれない。
そう思いながら視線を沖田さんの方へと向けた時である。

「きゃっ!?」

目の前に沖田さんがいた。
思わず驚いて悲鳴のような声を上げてしまえば、沖田さんは僅かに首を傾げる。

「驚かせた?」
「·····はい」
「僕のことなら心配しなくていいよ?屯所を脱走する予定とか、別に無いから」
「別に私はその心配をしているわけじゃありませんから·····」

あの時、沖田さんは平助君とは違ってどうしても参加したいという雰囲気はなかった。
だからその心配はしていない。

「ふぅん·····?いいけどね。でもそれ、違う心配はしてたってこと?」
「沖田さんの体調が心配なんです。まだ、万全じゃない様子ですし。夏とはいえ、あまり外にいるとお体に触ります」
「心配してくれてたんだ?ありがと。風に当たるのは程々にして部屋に戻るよ」
「·····へ?」

私は思わず唖然としてしまった。
こんなにも素直に言うことを聞いてくれるなんて思っていなかったから。
いつもなら皮肉か意地悪を言う沖田さんなのに。

お礼まで言われてしまった。
驚いてしまっている私は言葉が出ず、沖田さんもそれ以上は何も言わない。
ただ沈黙が流れてしまっていた。

「あの、沖田さん」

私は沈黙を破るために、口を開いた。

「沖田さんの怪我、早く治るといいですね·····」

私の言葉におきたさんは胸元に手を当てながら、小さく目を伏せていた。

「刀傷じゃないしね。治るのは早いと思う。·····だから、僕の方は大丈夫なんだけど」
「沖田さんの方は·····?それってもしかして·····山南さんのことですか?」

その言い方だと、山南さんを言っていることになる。
大丈夫じゃないというのは、山南さんしかいないのだから。
山南さんの腕は以前のようにはもう動かない。
沖田さんのように治る保証がないから·····。
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