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君ノ為蒼穹に願ふ【薄桜鬼真改】

第3章 巡察【共通物語】


「……そういえば訊くのを忘れていたが、君たちも新選組の隊士なのか?」
「あ……えっと」

表向きは土方さんの小姓で、見習いの隊士となっているが本当はそうじゃない。
なので相馬さんの問に言葉を詰まらせてしまい、なんと返事をしようかと悩む。

そして、千鶴も悩んではいたが相馬さんへと視線を向けると返事をした。

「は、はい。一応、小姓です……」

すると相馬さんは、千鶴の返事を聞くと肩を落としてながら独り言のように呟いた。

「君たちのような年端のいかぬ者でと幕府の為に働いているというのに、徳川譜代の我が藩は……」

相馬さんはそう言いながらも、言葉を直ぐに飲み込んで首をゆっくりと振った。
まるで雑念を振り払うように、ゆっくりと首をふると直ぐに笑みを浮かべる。

「……それじゃ、俺はそろそろ行く。皆にもよろしく言っておいてくれ」
「分かりました…それでは」
「あっ、はい。それでは」

その場で一礼をした相馬さんは歩き出した、もう一度門の方を振り返ってからまたゆっくりと町の方へと歩き出した。
彼の背中が見えなくなるまで見送ると、私は千鶴の方へと顔を向ける。

「千鶴。父様の手がかり、なにかあった……?」
「……何も、無かったよ。それと、斎藤さんが伏見の方で聞き込みをしてくれたけど何も手掛かりは無かったって」
「……そっか」

せっかく、やっと外に出れたのに情報は何もない。
その事に私たちは肩を落としながら、二人で共に屯所の中へと入っていった。


❈*❈*❈*❈*❈*❈*


「雪村妹。今日の夜で大丈夫なら、稽古を付けてやれる」

夕御飯も食べ終わり、後片付けが終わった頃。
部屋に戻ろうとしていた私に、斎藤さんがそう声をかけてくれて、私は直ぐに目を見開かせた。

「本当ですか!?」
「ああ。中庭で行うから来い」
「はい!」

斎藤さんは私がお願いしてから、度々ではあるが時間があれば稽古を付けてくれていた。
そして、私は斎藤さんと共に中庭に向かえば、明るいほどの月明かりが中庭を照らしている。

今日は月が明るい。
そう思いながら月を見てから、斎藤さんの方を見れば木刀を二本、手に持ってから私へと一本の木刀を差し出す。

「今日も手加減はしないが……いいな?」
「勿論です」
「いい返事だ。では、まずは打ち合いからするか……行くぞ」
「よろしくお願いします!」
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