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君ノ為蒼穹に願ふ【薄桜鬼真改】

第3章 巡察【共通物語】


「この絵を描いた井吹君は、元気にしているのかな?」
「あ……は、はい。とても……」
「そうか、それは良かった。……なあ、トシ」
「ふん……そんな奴のことは覚えてねえ」

土方さんは、そう言い放ったが何処か懐かしそうな、嬉しそうな、ほっとしている気配を感じた。
それに近藤さんや他の幹部の人たちも、何処か懐かしそうに微笑んでいる。
きっと、皆さんの知っている人なのだろう。

「……では、そろそろ帰ります。本日の貴隊の隊士の方々に他する数々の無礼、お許しください」

最初はぶっきらぼうな喋り方だった相馬さんだが、近藤さんの人柄に当てられたのだろう。
とても丁寧な喋り方で、幹部の人達に謝罪の言葉を述べていた。

その後、原田さんと永倉さんに平助君と千鶴で、帰る相馬さんを見送ることになった。

「……それじゃ、俺はこれで」
「いや、悪かったな。無理矢理こんな所まで連れてきちまって」
「……そもそもあんたたちが俺から絵を奪い取ったりしなきゃ、こんなことにはならなかったんだ」
「そういうなよ。あんな物騒なもんを他の奴らに見られたら、もっと大事になってたんだぜ」
「……そりゃ、そうかもしれないが」

相馬さんは疲れきったようにため息を吐く。
そんな彼に、平助君は楽しそに笑顔を見せていた。

「何せよ、龍之介の消息も聞けたんだし、一件落着ってことで良かったんじゃねえか」
「そうだな。……相馬だっけ?せっかくの縁ができたんだし、気が向いたら遊びにこいよ」
「遊びに、って……。新選組と関わりを持ったりしたら、色々差しさわりが……」
「ああ、そういや普通の藩務めだったな。確かに、俺たちなんかと関わってるとばれたら面倒か」
「……いや、我が藩は……」

何故か相馬さんは、眉間に皺を寄せながら言いにくそうに言葉を詰まらせていた。
その様子にどうしたのだろうと思っていれば、相馬さんの言葉を遮るように永倉さんが言葉を挟んだ。

「さて、そんじゃそろそろ飯の買い出しに行かねえとな。左之、平助、付き合ってくれよ」
「おう!そんじゃな、相馬!また会おうぜ!」
「あ……はい!」

どうやら永倉さん達が今日の買い出しのようで、彼らは直ぐに歩き出した。
小さくなる彼らの背中を見送っていれば、ふいに相馬さんが私たちに視線を投げたかと思えば、問いかけてくる。
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