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君ノ為蒼穹に願ふ【薄桜鬼真改】

第13章 雪舞う大地で貴方と【土方歳三編】


はらりと、土方さんの髪の毛が涙で濡れる私の頬をくすぐった。
その擽ったさも愛おしく思えてしまう。

(夢、みたい……)

重ねられた唇から伝わる熱を感じながら、私は薄らと目を開けば、彼の瞳が私を映していた。
熱が込められたその瞳から、彼の想いが伝わり、また私は瞼を閉じる。

穏やかだけど、胸が熱くなる接吻。
心地好いその穏やかさは、唇が離れても消えることはなかった。

(本当に、夢みたい……。彼が、私を愛してくれているなんて)

だけど、さっきの口付けが夢じゃないと囁く。
そして彼の言葉が、夢じゃないと現実なのだと思わせてくれる。

「これからも、傍にいろ。何があっても離さねえから、覚悟しとけ」
「……はい」

涙を流しながらも、私は微笑みを浮かべながら返事をする。
この涙は幸せだから、嬉しいから流れていくのだ。

「本当に、おまえは泣き虫だな……」
「……幸せで、流れてしまうんです涙が」

土方さんは困ったように笑うのじゃなくて、愛おしげに微笑みながら私の涙を指で拭う。

「……夢を、見てるみたいだって思ってしまいました……。私は、都合の良い夢を見てるのかもって」
「夢?」
「でも、やっぱり夢じゃないって……思って。嬉しくて、幸せで……。土方さんが、私を想ってくれるのが」

泣きながら告げる私に、土方さんは小さく息を洩らすと私の頬に手を添える。
彼の温もりが心地好くて瞳を閉じながら、彼の手に頬を擦り寄せた。

「夢なんかにされちゃ、困る。それとも、夢じゃないと分からせなきゃいけねえか」

そう言うと、土方さんはまた唇を重ねてくる。
次の接吻はお互いの気持ちを確認し合う、穏やかなものじゃなかった。

啄むように、土方さんは何度も口付けてくる。
時折角度を変えて、啄んでから深く重ねる接吻に私は身体を震えさせた。
そして息が出来なくなると思った時に、彼の唇が離れる。
私が息を洩らすと、土方さんは目を細めながら微笑んだ。

「夢じゃねえだろ?」
「……はい」
「夢にさせてたまるか。やっと……手に入れたんだからな」

彼はそう言いながら私を抱き締めてくる。
その温もりに、私は小さく笑いながら抱き締め返した。
大きくて広い背中、ずっと追いかけた背中に手が届いている。

「土方さん、……私、幸せです」
「ああ……俺もだ」

ただ、穏やかで幸せな時間が私たちを包んでいく
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