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君ノ為蒼穹に願ふ【薄桜鬼真改】

第13章 雪舞う大地で貴方と【土方歳三編】


つまり、今日の会議は土方さんに取っては良い物じゃなかったのだろう。
どんな話をされていたのかは分からないけれど、彼が納得できる物じゃなくて、機嫌が悪いということ。

島田さんは私に会釈をすると、少しだけ肩を落としてから歩いて行ってしまった。
彼の様子からして、かなり土方さんの機嫌は悪いようだ。

「……まあ、怒られるのは前からよくあるし慣れてるから平気かな」

彼が機嫌の悪い姿は何度も見てきたせいで、今では慣れてしまっている。
怒られても構わないと思い、私は部屋の扉を叩いた。

「土方さん、入りますよ」

ゆっくりとドアを開けてから、私は部屋の中に足を踏み入れた。
土方さんは窓を開け、睨むかのように外を眺めている。

「……立ち入りを許可した覚えはねえぞ」
「会議が終わったと聞きましたので。夕食、食べていませんよね?何かお持ちします?」
「いらねえよ。腹は減ってねえ」

これは、だいぶ機嫌が悪い。
返事する声にはかなり苛立ちが混じっているのに気が付き、私は少しだけ息を吐く。

「……では、私になにか出来ることはありますか?何でも構いません」
「……その手の台詞も、もう何度聞いたかわからねえな。今は本当に何もねえよ。……八つ当たりみてえな真似してすまなかったな」

土方さんの声にはもう、苛立ちが混じっていなかった。
やがて、彼は優しい眼差しで私の方へと視線を向けると小さく微笑む。

「……おまえがここに来たときは、人の気も知らねえでと思ったもんだが、今は、おまえがいてくれてよかったと思ってる。……本当だ」
「そう、ですか……」
「おまえはその目で、ずっと俺を見てきた。京にいるときからずっとだ。今思えば、みっともねえ姿もずいぶん見られた気がするがーー。皮肉なもんだな。そのおかげで、忘れずにいられるもんだからよ」
「……何を、忘れずにいられるんですか?」
「背負うものの、重みだよ。……あいつらが俺に託していったもの全部だ」

そう言うと、土方さんはまた外へと視線を向ける。
雪が降っていない蝦夷地の空は、多くの星に埋め尽くされていて美しい。

「がむしゃらに走るだけなら、俺一人の方がずっと手っ取り早い。だが、おまえがいると、突っ走る前に歯止めがかかるんだ。重石みてえな物だな」
「……重石ですか?」
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