第13章 雪舞う大地で貴方と【土方歳三編】
「……まるで、結婚の挨拶をされてる気分」
「「結婚……!?」」
私の言葉に、二人はぎょっとしながらも顔を凄く真っ赤にさせてしまう。
似た者同士だなと思いながら、くすくすと笑っていれば相馬君は何かを決意したように、背筋を伸ばしてから私を真っ直ぐに見た。
「何時か、改めてそのご挨拶を出来れば良いと思っています」
「……待ってるよ、相馬君。じゃあ、私は戻るね」
「はい!」
何時か、相馬君が千鶴と共に結婚の挨拶をしてくれるかもしれない。
そんな未来を楽しみにしながら、私は土方さんの元に戻ったのであった。
そして、土方さんの元に戻った私は会議室で島田さんたちが話し合っていると聞いて、そちらにお茶を持っていく為に広々とした会議室にいた時である。
「おい野村!今日という今日は、絶対に許さないぞ!」
会議室に顔を真っ赤にしながら怒り顔を浮かべた相馬君が飛び込んできて、野村君の胸ぐらを掴んで揺さぶり出したのである。
「な、何だよいきなり!?」
「相馬君、落ち着いてください。乱暴はいけませんよ」
「そんなことを言われても!こいつが大鳥奉行に、変な事を吹き込んだせいでーー」
「だから、変なことって何だよ?」
しばらくすれば、走ってきた千鶴が会議室に入ってくる。
一体どうしのだろうと、私は目を白黒させながら見守る事にした。
「おまえ、俺と雪村先輩は二人きりの時猫語で話してるとかーー。根も葉もないうわさを流してるらしいじゃないか!」
「猫語?え、千鶴……相馬君と二人きりの時に猫語で話してるの?」
「話してない!話してない!!」
驚いた私が千鶴を見れば、彼女は一生懸命首を左右に振って否定してきた。
「え、本当のことじゃねえのか?二人きりの時はいつも先輩に釦を留めてもらってるとか、靴を履かせてもらってるとか。膝枕で耳かきしてもらってるとか、色々聞いたんだけど」
「相馬君、千鶴にそんなことしてらもってるの!?」
「してもらっていません!というか、野村!!本当なはずないだろう!どうして俺が、そんなーー」
「んなこと言われても俺だって、島田さんから聞いたことをそのまま話しただけだから……」
「島田さん、どういうつもりです!」
「いえ、俺は伊庭さんから聞いたことをそのまま伝えただけで……」
「伊庭さん……!」
相馬君が恨みが籠った目で、他人事のように座っていた八郎お兄さんを見る。