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君ノ為蒼穹に願ふ【薄桜鬼真改】

第13章 雪舞う大地で貴方と【土方歳三編】


彼の言葉に、嬉しが込み上げてくる。
私の存在が彼の支えになっていたなんて、お役に立つことが出来ていたなんて思っていなかった。

「……おまえが傍からいなくなると、一人で立つことさえ辛く感じられた。俺は、おまえの存在に救われてたんだろう」

私が、彼を救えていたのだろうか。
彼の言葉に、彼の温もりに涙が溢れて止まらなかった。

「……千尋。新選組は、今も武士の道標だと思うか?あいつらが惚れ込んだものを、俺は、引き継ぐことができてると思うか……?」
「勿論です。……皆さんが、愛したものは、今も新選組に息づいています。いえ、もしかしたら以前より強くなったと思います。だって、皆さんの気持ちがひとつになっているんですから」
「……おまえにそう言ってもらえると、気が楽になる」

土方さんの声は、とても穏やかなもの。
私の言葉で彼が喜んでくれている事が、嬉しくてたまらなかった。

「今の新選組に、鉄の掟な必要ねえんだ。隊士どもは、志を持つ侍ばかりだからな」
「……はい」

きっと、今の彼の両肩にかかる負担は少なくなったに違いない。
新選組の皆さんが同じ方向を向いているのだから。

「辛いことも苦しいことも……、これからは私に分けてくださいね?私が土方さんの支えになれるなら、一人で抱え込まずに私を頼ってください」

土方さんは返事はくれなかったけれども、私を抱きしめるその腕を解くことはなかった。
やがて、彼は小さな言葉を私に囁く。

「……傍にいてくれ」

その言葉に、また涙が溢れた。
彼の言葉に私は小さく頷いてから、両腕を彼の背中に回して抱き絞める。

「傍に、います……ずっと」
「ああ……いてくれ」


❈*❈*❈*❈*❈*❈*❈*❈

ー翌朝ー


「雪村先輩、お久し振りです!俺たち、先輩が来るのをずっと待ってたんですよ!」
「千尋!!」

翌朝、私は久しぶりに千鶴と相馬君と野村君と再会した。
私の姿を見つけた千鶴は駆け寄ってくると私を抱き締めて、その後ろから相馬君たちが駆け寄ってくる。

「久しぶり、千鶴。それに、相馬君も野村君も」
「どうでした?感動の再会は」
「ど、どうって……」

野村君の言葉に思わず口をつぐんでいれば、何故か彼は顔を曇らせていく。

「千尋先輩と離れ離れになってから、副長は物思いに沈んだ顔をしていることが多くて……」
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