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君ノ為蒼穹に願ふ【薄桜鬼真改】

第13章 雪舞う大地で貴方と【土方歳三編】


そして彼は不機嫌そうに開いた扉の方へと振り返り、私の姿を見た瞬間、目を見開かせる。

「お久しぶりです、雪村千尋です。大鳥陸軍奉行から本日付けで辞令を頂きまして、土方陸軍奉行並の小姓付きに配属されました」

彼は目を見開かせたまま、そして唇を薄く開いたまま私を見て固まっていた。
しばらく、まじまじと私のを見ていたが直ぐに顔を顰めてしまう。

「……何かの間違いだろ。そんな連絡は受けてねえ」

そんな彼に、私は大鳥さんから受け取った書状を差し出した。

「大鳥陸軍奉行から預かった辞令です。お確かめください」

彼は苦い表情を浮かべると、私から書状を受け取った。
そして文面に軽く目を通していき、辞令を読み終えると土方さんはますます眼差しを鋭くさせる。

土方さんは、乱暴な仕草で私に書状を突きつける。
彼は私を見ようとせずに、眉間に皺を寄せながら拒絶とも言える言葉を投げかけた。

「持って帰れ。……こんな辞令は認めねえ」
「そうですか……分かりました」

私は彼から素直に書状を受け取る。
そして、土方さんの目の前でその書状を破り捨てた。

「……何してんだ、おまえ」

土方さんは私の行動に驚いたのか、目を見開かせながら破り捨てられた書状を見ていた。
そんな彼に私は言い放つ。

「別に、辞令は受け取ってくださらなくても構いません。こんな物に頼った私が悪かったんですから」

私は、大鳥さんの命令に頼った。
そして土方さんに受け入れてもらおうとしたけれど、それが間違っていたのだ。

蝦夷地に来たのは、命令だからじゃない。
私が来たくて、土方さんの傍に居たくて蝦夷地まで来たくて大鳥さんに手助けしてもらって来たのだ。

「私は、私の意思でこの蝦夷地に来ました。ただ、貴方のお傍に居たくて」

認めてほしいのは辞令ではない。
土方さんに認めてほしいのは、私の気持ちなのだ。

「死地に部下を送り込む指揮官が、女を侍らせて、てめえだけいい思いなんてしてられねえだろうが」
「それが、私を遠ざけ理由ですか?」

私の言葉に、土方さんはバツの悪そうな顔で黙ってしまう。
そんな彼に私は手を振りあげると、勢いよく彼の頬を平手打ちした。

「っ……!?」
「土方さん、いい加減にしてください!」

叩かれた彼は、虚を突かれたように目を見張る。
そんな土方さんに私は言葉を続けた。
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