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君ノ為蒼穹に願ふ【薄桜鬼真改】

第13章 雪舞う大地で貴方と【土方歳三編】


私の言葉に、土方さんは眉間に皺を寄せていた。

「近藤さんや源さん、山崎に頼まれたっつても、その義理は充分果たしたはずだ。もしおまえがこの先、戦いに巻き込まれて死んだりしたら、俺があの世で皆にどやされちまう。……そろそろ、おまえも俺たちから解放されてもいい頃だろ」
「解放だなんて……私は、好きで貴方の……新選組の元にいたんです。囚われていたわけじゃないです!」

確かに、新選組と共に行動していた最初の理由は綱道父様を探す為。
その理由が無くなった今は、彼らに同行する理由も無くなっている。

だけど、私は土方さんのお傍にいたい。
だから彼とは離れたくないと、強く願っている。

「……安心しろ。風間は今後、おまえや姉じゃなくて俺を狙ってきてやがるはずだ」
「そうじゃありません!私は、貴方に風間から守って欲しくて傍に居たわけじゃないんです!」

声を荒らげ、彼の言葉に頷かない私に土方さんは頑是ない子供を相手にしているような、そんな表情になっていく。

「……聞き分けのねえことを言うんじゃねえ。俺じゃ、おまえを幸せになんてできねえんだよ」
「……え?」

彼の小さく呟かれた言葉に、私は目を見開かせて身体を少しだけ強ばらせた。
今、彼は【私を幸せにできない】と言ったのだ……だけど、そんなの私には関係ない。

(私の幸せは、別にいらない……。それに、貴方の傍に居られるのが私の幸せなのに……)

何で、分かってくれないのだろう。
その悔しさと怒りや悲しさが、私の心を乱し始めて涙がじわりと浮かんでくる。

「幸せなんて、要らない……手に入らなくても構いません。それに、私が幸せかどうかは、私が決めるんです!貴方が決めないでっ!!」
「……雪村」
「私の幸せなら、貴方と……新選組の皆さんと共に戦うことです。貴方達と同じ道を歩くことです……。別に、幸せにしてもらえなくたっていいですから……」

涙を溢れさせ、声を震わせながら私は土方さんを真っ直ぐに見つめた。
別に土方さんのお傍にいられるのなら、幸せにしてもらえなくたっていい。
だって、土方さんに幸せにしてもらいたくてずっと傍にいたわけじゃないんだから。

「お願いします、土方さん……。一緒に、居させてくださいっ」
「その気持ちはありがてえが……、おまえは、幸せになるべきだと思うぜ。俺たちなんぞに付き合わずにな」
「……土方さん」
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