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君ノ為蒼穹に願ふ【薄桜鬼真改】

第13章 雪舞う大地で貴方と【土方歳三編】


「ありがとう、ございます……!」

また、仲間がいなくなっていく。
仙台では平助君と山南さんが亡くなり、会津では斎藤さんが亡くなった。
これでこの世に残った羅刹は、土方さんと相馬君だけ。

「今まで、世話をかけたな。これからの戦いは、より厳しいものになるだろう。おまえらは、もう充分戦ってくれた。だから……」

土方さんが言葉を詰まらせ、口を少しだけ閉ざした時。

「この命は、既に【新選組】に預けています。我々はどこまでも、土方さんについていきます」
「俺もです!地の果てまでお供しますよ」
「命なんて、とっくに捨ててます!どこまでも一緒に行かせてください!」
「おまえら……」

島田さんと相馬君に野村君の言葉に、土方さんは目を見開かせていた。
そんな彼に、三人は微笑みを浮かべながら決意した真っ直ぐな瞳を向けている。

「我々は、新選組として戦いたいんです。信じた義を果たす為に生きたいんです」

もし、近藤さんが生きてこの場に居たならきっと涙を流しながら喜んでいたはず。
そして土方さんは苦笑を浮かべながらも、彼と共に笑いあっていたかもしれない。
そんな事を思ってしまった。

彼らの心は重なり合っている。
それが何故か私も嬉しくて、千鶴も同じ気持ちだったのか涙を流していた。

「この……馬鹿野郎どもが」

土方さんは顔を歪め、少し下手くそな笑顔を浮かべて吐き捨てながらもその瞳は優しかった。


そして、九月半ばの頃。
仙台藩はますます恭順派に傾きはじめ、旧幕府軍は長く留まることは危険になってきた。
合流を果たした大鳥さんたちも、仙台を離れて蝦夷地に向かうことを賛成したそう。

新選組の蝦夷地行きがついに決まったのだ。
そして新選組は榎本さんも艦隊と合流する為、仙台の町から離れて森に入っていた。
艦隊との合流まで後少しと言うところで、土方さんは不意に足を止める。

そして、土方さんは私の方へと振り返る。
相馬君と千鶴や他の方々は、そんな彼を気にしながらも先に歩いていく。

「雪村、おまえを連れて行くわけにはいかねえ。ここに残れ」
「ここに、残れ……?」

まさかの言葉に、私は目を見開かせて戸惑う。

「待ってください、土方さん……どういうことですか?何で、急に……」
「……おまえは、戦いから離れろ。もう俺たちに付き合う必要はねえだろ?」
「必要は、あります!!」
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