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君ノ為蒼穹に願ふ【薄桜鬼真改】

第11章 乞い求む【土方歳三編】


「蔵に、材料がまだ残ってるはず……」
「作れるんですか?雪村先輩」
「うん、多分。調合はよく父様の手伝いでさせてもらっていたから……」

千鶴は手当が上手く、私は調合を得意としていた。
だからよく父様の手伝いで調合をしていたから、恐らくだけども作れるはず。
私は千鶴と相馬君とで急いで蔵へと向かい、材料を集めて調合を始めた。

調合法を見ながら作りだしたが、あまり難しいものじゃなかった。
私が調合してる間、相馬君と千鶴は私の手元をじっと見ている。

「……あの、二人とも。あまり見られるとしづらいというか……なんというか」
「あ、ごめん!つい……」
「す、すみません……」
「謝らなくてもいいよ。とりあえず、あまり見ないでくれたら有難いかな?」

私が苦笑すれば、千鶴と相馬君は申し訳なさそうにしていた。
なんだか二人とも最近似てき出したかな……と思えば、千鶴はゆっくりと立ち上がる。

「じゃあ、私は……掃除でもしておくね。埃を吸いすぎたら喉に悪いし身体にも良くないから」
「俺も手伝います!」

そうして二人は放棄を手にして掃除を始めた。
私は調合をしながら、時折二人を見ると、距離が近く笑いあっていたりとしている。
江戸に来てからなんだか、二人共距離が凄く近くなったような気がするけれども……。

(……仲が発展したのかな?)

もしそうなら、嬉しいような寂しいような複雑な気分になってしまう。
そう思いながらも、私は調合を進めていった。

「……で、できた」
「凄いです、雪村先輩!あっという間に沢山の薬を作ってしまわれて」
「やっぱり千尋は調合が上手ね……」
「ありがとう……。でも、夜になっちゃったね」

調合を済ませた頃には、外はあっという間に暗くなってしまっていた。
私達は急いで片付けをして、薬を布で包んでか実家を出てから釜屋へと急いだ。

「最近辻斬りが増えていると聞きましたから、なるべく人通りがある場所を歩きましょう」
「そうだね」

相馬君の提案で、なるべく人通りが多い道を歩きながら釜屋へと戻る。
そして釜屋に辿り着くと、見知った顔が見えた。

「あっ……!」

ちょうど、建物の中から出てきた山南さんと平助君と遭遇した。

「山南さん、平助君」
「おや、三人共、ずいぶん遅いお帰りですね。物騒ですからなるべく、出歩くのは控えた方がいいですよ」
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