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君ノ為蒼穹に願ふ【薄桜鬼真改】

第11章 乞い求む【土方歳三編】


そう言って、平助君は広間を後にした。
一人になってしまった私は、改めて土方さんの事を考えてしまう。
本人は平気そうに振舞っていたけれども、本当に大丈夫なのだろうかと。

平助君の言っていた吸血衝動は出ていないだろうか。
たとえ、今はまだ吸血衝動が現れていなくてもこれから先は恐らく現れるはず。

(せめて、その苦しさから解放されたら……)

そう悩んでいる時、ある事を思いついた。
父様は羅刹の研究をしていたのだから、もしかしたら吸血衝動を抑える方法も知っていたかもしれない。
それについての資料が実家にあるかもしれないと。

「……行ってみることに越した事はないよね。明日、行ってみよう」

一人で頷いていれば、広間のふすまが開く音が聞こえた。
誰が来たのだろうかと振り返れば、そこには千鶴と相馬君の姿がある。

「千尋、ここにいたんだね」
「ねえ、千鶴。明日、実家に行ってみない?」
「実家に?どうして、急に?」
「何か、ご実家に御用が?」

私の言葉に千鶴と相馬君は不思議そうにしながらも、目の前に座った。
そんな二人に私は、実家にもしかしたら羅刹の吸血衝動を抑える為の資料があるかもしれないという話をした。

「確かに……。父様が何か資料を残してるかもしれないよね。うん、行ってみよう」
「では、俺も行きます。自分の身体についてでもありますし、お二人の警護も兼ねて」


❈*❈*❈*❈*❈*❈

ー翌日ー

私と千鶴と相馬君は、屯所に書き置きを残してから実家へと向かった。
土方さんに外出許可を貰おうとしたけれども、彼は既に幕臣の方と面会の予定があって屯所にはいなかった。
なので、取り敢えずと書き置きを置いてきたのだ。

「……雑草が、凄い」
「そう、だね……」
「ここが、雪村先輩たちのご実家なんですね」

四年ぶりに帰ってきた家は荒れ放題だった。
手入れがされていない庭は雑草が伸び放題で、玄関も凄い雑草が生えている。
家にいた時はよく草むしりとか、手入れもしていたけれども、誰も手入れをしていなければこうなるのも当然かもしれない。

家の有様に驚きながらも、私は玄関の扉を開けて四年ぶりに家の中へと入った。
だけども、家の中もかなり酷い状態だ。

「うっ·····げほっ、げほっ!」
「ごほっ·····!埃が酷い……」
「げほっ!」
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