第2章 新選組【共通物語】
「おまえらが来るまで食い始めるのを待っててやった、オレ様の寛大な腹に感謝しやがれ!」
「新八、それ寛大な心だろ……。そらじゃあ、いつものように自分の飯は自分で守れよ」
私と千鶴は苦笑いしながらも座り、千鶴の隣には永倉さん、私の隣には原田さんがいた。
そして何時のものように賑やかな食事が始まる。
「今日も相変わらずせこい夕飯だよなぁ。というわけで……隣の晩御飯、突撃だ!弱肉強食の時代、俺様がいただくぜ!」
「ちょっと、新八っつぁん!なんでオレのおかずばっか狙うかなあ!」
「ふははは!それは身体の大きさだぁ!大きい奴にはそれなりに食う量が必要なんだよ」
「じゃあ、育ち盛りのオレはもっともっと食わないとねー!」
永倉さんと平助君は毎度ああやってご飯の取り合いをしていて、とても食事の場が賑やかになる。
何時も私と千鶴は静かな場所でしか食事をした事がなかったので、最初は驚いてしまったが、今は少しだけ慣れてしまっていた。
「千鶴、千尋。毎回毎回、こんなんですまないな」
「……いえ、慣れました」
「私も、慣れました……」
「ふむ、慣れとは怖ろしいものだな……」
ふと、沖田さんがもう食事をしていないのに気が付いた。
その前もだけれども、沖田さんは食が細いのかあまり食べていないようだ。
「あ……沖田さんはもういいんですか?」
「うん、あまりお腹一杯に食べると馬鹿になるしね」
「おいおい馬鹿とは聞き捨て……だが、その飯はいただくぜ!」
「どうぞどうぞ。僕はお酒をチビチビしてればいいし」
「んじゃ、俺も酒にするかな」
「千鶴ちゃん、千尋ちゃん。ただご飯とか気にしないで、お腹いっぱい食べるんだよ」
「……わ、わかってます。少しは気にしてます!」
「気にしなくてもいいが…自分の飯は自分で守れ」
「は、はい!」
なんとも賑やかすぎる食事。
それに、ここに来て驚いたのは賑やかさだけではなかった。
幹部の人達はよく『ご飯が足りない』と言って、人のご飯を取っていく。
なので、斎藤さんや原田さんから『自分の飯は自分で守れ』と言われている。
ご飯の取り合いなんてしたことが無い。
でも、こうやって騒ぐのは別に悪い気はしないし、正直楽しいとも感じていた。
「ふふっ……楽しいね、千尋」
「うん。楽しい……ふふっ」
千鶴とくすくすと笑いあう。