第2章 新選組【共通物語】
「総司。無駄話はそれくらいにしておけ」
「……あの!斎藤さんも、今の話、聞いていたんですか!?」
「……つい先程、来たばかりだが」
「良かった……!あ、その、すみません。私、いきなり声を上げてしまって……」
「気にするな。……そもそも今の会話は聞かれて困るような内容でもないだろう」
聞いていたのだろう。
確かに聞かれて困るような会話ではないけれど……と思っていれば、斎藤さんは少し困ったような表情をしていた。
「夕飯の支度が済んだのだが、……邪魔をしただろうか?」
「いえ、邪魔ではありません!」
「あんたと総司の話に一区切りついたら、声をかけるつもりだったんだが……。放っておくと長引きそうだったからな、話の腰を折らせてもらった」
斎藤さんが肩をすくめていると、騒々しい足音がだんだんと近付いてきていた。
そしてばたばたと駆け込んで来たのは藤堂さんで、私たちを見ると幼い子のように頬を膨れさせた。
「あのさ、飯の時間なんだけどー」
「すまん平助、今行く」
「ああ。千鶴、千尋、おまえ達も急げって。早くしねえと食うもの無くなっちまうからさ」
「ごめんなさい、藤堂さん。直ぐに行きます」
「分かりました、藤堂さん」
藤堂さんにそう声をかけてから立ち上がっていれば、行きかけた藤堂さんが立ち止まって困ったような顔で私たちを見て、口を開いた。
「あー、その【藤堂さん】ってやめない?みんな【平助】って呼ぶから、それでいいよ」
「名前で呼んでもいいんですか?」
「歳も近いから、そのほうがしっくりするし。あと、そのですますもやめようぜ」
「あ……じゃあ、平助君、でいい?」
「おう。千尋も、名前で呼べよ」
「……平助君?」
「そそ、それでいいよ。んじゃ、早く行こうぜ!」
最初は私と千鶴は部屋で食べていた。
でも、平助君が『皆で食べた方が美味しい』という提案により私たちも広間で食べれるようになったのだ。
そうして、私と千鶴が広間に向かえば既に原田さんと永倉さんが座って待っていた。
すると永倉さんはお腹の音を鳴らしながら、文句言いたげな目で私たちを見る。
「ようやく来たか」
「おめえら遅えんだよ。この俺の腹の高鳴りをどうしてくれんだ?」
「新八っつぁん、それってたんに腹が鳴ってるだけだろ?困るよねえ、こういう単純な人」