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君ノ為蒼穹に願ふ【薄桜鬼真改】

第10章 乱世【土方歳三編】


そう聞かれた瞬間、私の顔には一気に熱が集まり爆発してしまいそうになる。

「え!?へ、いや、え!?ち、違うの……いや、違わないかもだけど……。ただ、私は彼の傍に居たくて」
「傍に、居たくて?」
「……あの人は何時も自分のことは後回しで、新選組の為に身体を壊しそうになるまで頑張っているの。普段、【鬼の副長】とか言われて怖がられているけど、誰よりも新選組を思っている優しい人で……色んな物を背負い過ぎて、私はそんな彼の少しでも良いから支えになりたい」

あの人の背負う重いものを、少しだけでもいいから支えて軽くさせてあげたい。
何ができるか分からないけれども、そう思っていて土方さんの傍に居たいと思っている。

そう話すと、お千ちゃんや君菊さんに千鶴は笑みを浮かべていた。
彼女達の笑みにはどんな理由があるか分からないけれども、恥ずかしくなってくる。

「それって……、完璧に捕まっちゃってるじゃない」
「え?」

捕まっているって、どういうことなんだろう。
そう思っていればお千ちゃんは微笑みを深くしながら語った。

「私のご先祖様に当たる鈴鹿御前も、坂上田村麻呂って人間の男に恋をして京までついて来たんだって。……その子孫が、私。だからあなたの気持ちは、私にもわかるつもりよ」
「……お千ちゃん」
「どんな事情も立場も、恋の前には無力だもんね」
「えっ!?こ、恋……!?」
「それに、千鶴ちゃんも誰かに捕まってるのでしょう?誰かは分からないけれども、ここからな離れたくない程に想う人が」
「え!?」

二人揃って、顔を真っ赤にさせてしまう。
するとお千ちゃんは私たちの肩に手を添えながらこう言ってきた。

「人と鬼っていう立場の違いはあるけど……うまくいかないって決まったわけじゃないもんね。頑張ってね、千鶴ちゃん、千尋ちゃん。応援してるから」
「お、お千ちゃん……!」

彼女の言葉にてんやわんやしそうになっていれば、傍にいた君菊さんがお千ちゃんに声をかけた。

「……姫様、そろそろ参りませんと」
「あっ、そうね。それじゃ千鶴ちゃん、千尋ちゃん。元気でね……風間は本当に手強い鬼だから、気をつけて。もし何かあれば、いつでも知らせてちょうだい。私と連絡を取りたい時は、角屋に手紙を届けてくれればいいわ」
「うん、ありがとう……お千ちゃん」
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