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君ノ為蒼穹に願ふ【薄桜鬼真改】

第10章 乱世【土方歳三編】


戦の気配が強く感じ始めた頃。
幕府の陸軍や会津を初めとした諸藩、それに八郎お兄さんが所属する遊撃隊。

戦が近づくにつれて、幕府に味方する方々が続々と京へと集結し始めた。
それに合わせて行われた軍議に、近藤さんが出席するということに。

「そう心配しなくても、無事に帰ってくるさ」
「……そうだと、いいんですが」

軍議に参加する近藤さんの護衛兼雑用として、千鶴と相馬君と島田さんは着いて行っていた。
時間からしたら、そろそろ四人が帰ってくる時間帯。

どうか、四人が無事に帰ってきますように。
そんな私の祈りは無駄となってしまったーー。

「おい、大変だ!近藤局長が、何者かに狙撃されたぞ!」
「……え」

信じられない一報が、伏見奉行所へと届けられた。
目撃者はおらず、犯人の正体や目的も明らかになっていないらしい。

「ふざけんじゃねえ!誰が撃ちやがったんだ!行くぞ!手の空いている奴は俺についてこい!」

そして、近藤さんが襲撃されたという一報を聞いた永倉さんは、多くの隊士の方たちを連れて近藤さんが狙撃されたという場所へと向かった。

「……まさか、近藤さんが撃たれるなんて」
「うん……」

近藤さんが撃たれたのは右肩だった。
弾は貫通していたものの、骨は砕かれていて屯所での応急処置はすまない有様。

肩だからといって安心出来るわけじゃない。
油断して適切な処置をしなければ、命取りになってしまうだけじゃない。
命が助かったとしても、右肩が二度と使えなくなる可能性もある。

「適切な処置はしたといっても……。本格的な治療が出来ないから」
「うん。ここでは、本気的な治療は望めないもんね」

ここにはお医者様がいるわけじゃない。
私も千鶴も、応急処置の知識しか持ち合わせいないし、山崎さんも本格的な治療は出来ない状態。
そう思いながら歩いていれば、人影が目に入った。

「相馬君」
「雪村先輩たち……近藤局長の容態は……?」
「……今のところ命に別状はないはず。撃たれたのは肩だったから」
「でも、肩だからといって安心はできない。応急処置をしたといっても、そのまま放置すれば悪化するから。ちゃんとしたお医者様に看てもらう方がいいかな」
「そう……ですか……」

相馬君も千鶴も悔しそうに、辛そうにしていた。
二人は近藤さんが撃たれた時に傍にいたから尚更辛いはず。
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