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君ノ為蒼穹に願ふ【薄桜鬼真改】

第9章 修羅【土方歳三編】


(何か、手伝えることがあれば土方さんの仕事も減るかもしれない……)

土方さんのお仕事で、私が手伝える事はほとんどないはず。
だけど何かお手伝いはしたい……そう悩んでいれば、土方さんが怪訝そうにされていた。

「おい、どうした?黙ってても、わからねえぞ」
「あの、何か私にお手伝いできることはありませんか?何でも構いません、お手伝いをさせてもらえないでしょうか……」
「手伝いだと?」

何故か、土方さんの表情は一気に不機嫌になる。
どうしてだろうと驚きながらも、私はあたふたとしてしまう。

「その、だから……」

余計な事を言ってしまったかもしれない。
自分が言った言葉に少しだけ後悔しだしたけれども、やはり私は土方さんのお手伝いがしたかった。
ここで引き下がれば、以前と何も変わらないのだから。

「私が、お役に立てることは少ないと思います。ですが……小さなものでも構いません。なのでお手伝いをさせてください」

頭を下げてからお願いをすれば、土方さんは何も言わずに沈黙だけ。
その沈黙に少しづつ耐えられなくなり、私はゆっくりと頭を上げながら土方さんの様子を見る。
沈黙にどうしようと思った時だ……。

「……隊士な行くよりは、目立たねえな」
「……え?」
「筆と紙だ」
「へ?」
「筆と紙を持ってこいっつってんだ。おまえの部屋には、そんな物もねえのか」
「す、直ぐにお持ちします!」

慌てて私は紙と筆を用意してから、土方さんに手渡した。
彼はそれを無言で受け取ると、紙に素早く何かを描き始める。

何を描いているのだろう。
そう思いながら、土方さんの手元を覗くと土方さんは道の絵を描きはじめていた。

(これは、地図……?)

何で地図を描いているんだろう。
そう思いながら、土方さんへと視線を向けた。

「あの……、それは一体?」
「……斎藤が、三浦の警護で天満屋に詰めてるのは知ってるな」
「はい、存じてます」
「あいつに渡して欲しい物がある。届けてきてくれ」
「私が、届けてもいいんですか……?」
「ああ。隊士に行かせると、目立っちまってしょうがねえからな。おまえなら、怪しまれることはまずねえだろう。任せて大丈夫だな?」

土方さんの言葉に何度も頷いた。
任された事に嬉しくて、私は直ぐに返事をする。

「はい、もちろんです!お任せください!」
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