第2章 新選組【共通物語】
「そろそろ父を捜しに、外に出たいと思っているんですが……」
「それは無理だ。あんた達の護衛に割く人員は整っていない」
あっさりとお願いを却下されてしまった。
斎藤さんの言葉は取り付く島もないものであり、千鶴は少し項垂れるが諦めずに言葉をかける。
「……でも、何とかならないでしょうか?別に遠出したいわけじゃないんです。ちょっと屯所の周りだけでも……」
「んー。僕たちが巡察に出かけるとき、同行してもらうのが一番手っ取り早いかな」
「巡察に、ですか?」
「……巡察?」
私と千鶴が首を傾げると、沖田さんは目を細めながら釘を刺してきた。
「言っておくけど、巡察って命がけなんだよ?僕たちが下手を打てば死ぬ隊士だって出る。浪士に殺されたくないなら、最低限、自分たちの身を守ってもらわないとね」
「それなら、私も千尋も剣術を学んでいます。私は身を守るくらいならなんとか……千尋は、男の人相手に剣術で何度も勝ってはいます」
千鶴は身を守るためにと護身術を学び、私も自分の身を守る為にと千鶴を守る為に護身術と剣術を学んだ。
だが、実際に人を斬ったことはなく手に握ったのは木刀と竹刀ぐらい。
正直言うと、沖田さんのさっきの言葉で巡察に同行するというのは怖い。
もし目の前でまた血が舞ったり、人が死んだりしたらとても怖い……。
でも、怖くても千鶴も私もどうしても父様を捜しに行きたいのだ。
「ならば俺が試してやろう。腰のものが飾りではないと証明して見せろ」
「「え……?」」
「加減はしてやる。遠慮は無用だ。どこからでも全力で打ち込んでこい」
「でも……!!」
「打ち込むって……」
「……どうした、雪村たち。その小太刀と刀は、やはり単なる飾りなのか」
その言葉に私と千鶴は少しだけムッとした。
この刀と千鶴の小太刀は飾りなんがてはない、そう思い私と千鶴はお互いの顔を見合わせてから頷き、また斎藤さんへと向き直す。
「……そんなことはありません。近所の道場に通ったのも本当です。でも、斬りかかるなんてできません!本物の刀で斬りかかったら、怪我どころか殺してしまうかもしれしれないじゃないですか!」
「……私は、別に構いません。斎藤さんが良いと言うならば、斬りかかります。その覚悟があって、この刀を腰に差していますから」
「……千尋!?」