第2章 新選組【共通物語】
それに、土方さんは私たちをなるべく殺さない方向へと話を進めようとしてくれり、私たちの話をちゃんと聞いてくれた所もある。
確かに世話焼きというよりも、少しだけ優しい所があるのかもしれない。
「ちょっと厳しいところがあるかもしれんが、今回の件も君たちを思ってのことだろう」
「そうですね……そんな気がします」
「そうですね。土方さんが【まだ時期じゃない】と判断するなら、それが正しいんじゃないかと思います」
少し怖い所がある人だけど、そんなに悪い人じゃないのは分かる。
「俺からもトシには伝えておこう。退屈だろうが、もうしばらく我慢してくれ」
「ありがとうございます、近藤さん」
「はい。……ありがとうございます」
近藤さんの言葉に少しだけ勇気づけられた事により、少しだけ胸が楽になった気がした。
さっきまで不安などがあったけど、このお茶を飲んだり金平糖を食べる時間は心温まるものを感じた。
それからしばらくして、近藤さんは『仕事をしなけらばならないから』と言い、お盆を持って行ってしまった。
「近藤さんから頼んでくれるなら、有難いね」
「そうだね。でも……土方さん、聞いてくれるかな?反対されたらどうしよう」
確かに反対されてしまったらどうしよう。
そう思いながら、千鶴と悩んでいるとふとある事を思いついた。
「……他の誰か頼んでみるとか?私たちの外出について、他の複数の人からも頼んでもらえるようお願いしたら土方さんも反対はしないかな」
「……確かに。誰かにお願いしてみよう」
そうして、私たちは怒られることを覚悟して人の姿を探しに中庭へと行ってみることにした。
一般の、私たちの事情を知らない隊士さんに出くわしたら困るのでなるべく物陰に隠れつつ様子をうかがってみる。
「……あ」
「あれは……沖田さんと斎藤さん」
「沖田さん、斎藤さん、おはようございます」
「……おはようございます」
私は、正直沖田さんが苦手だ。
何かと直ぐに『殺す』とか『斬る』という物騒な発言をしてくるから。
「おはよう、千鶴ちゃん、千尋ちゃん。明るいような暗いような、微妙な顔してるね」
「な、何か顔に出てますか……?」
「何か思うところがある、という様子だ。俺たちに用があるなら言うといい」
「はい。実は……」
千鶴は少し考えた様子を見せながらも、二人に包み隠さずに相談した。