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君ノ為蒼穹に願ふ【薄桜鬼真改】

第9章 修羅【土方歳三編】


「今は隊士たちが順次迎撃に出ています。しかし、君たちもよく知っての通り、奴らの強さは尋常なものではない。……率直に言って、奴らがいつここにやってきてもおかしくありません」
「じゃあーー」

島田さんの言う通り、風間千景たちがいつここに来てもおかしくない。
ならどうするべきなのだうかと悩みながら、刀を握りしめていた時だ。

廊下からこちらに近づいてくる足音が聞こえた。
もしかしたら、もう風間千景がこちらに来ているのではと身構えてしまう。

「島田さん!誰か来ます……!」
「わかっています。……君たちは下がっていてください」

もしの時は千鶴だけでも守らなければ。
緊張しながら、刀の柄に手をかけた時、勢いよく襖が開いた。

「ーー雪村先輩たち!無事ですか!」
「相馬君!?どうしてここに……」

部屋に飛び込んできたのは相馬君だった。
走ってきたのか、息を荒くさせている彼を見て、私は思わず安堵してしまう。
部屋に来たのが風間千景じゃなくてよかったと。

「敵の襲撃と聞いたので、雪村先輩たちを捜していたんです。もし何かあったらと心配しましたけど……、無事のようで、ほっとしました」
「相馬君こそ、怪我がなくてよかった」

三人で胸を撫で下ろしたけれども、安堵している場合じゃない。
島田さんは開いた戸から周囲を窺うと、相馬君へと指示を飛ばした。

「相馬君。ちょうどいいところに来てくれた。俺はこれから周囲の安全確認と、他の隊士たちの援護に向かいます。その間、ここで雪村君たちの護衛を頼めるか?」
「はい、もちろんです!そのつもりで来ましたから!」

島田さんは相馬君の言葉を聞いて、すぐに外に出ようとしたが慌てて私がそれを止めた。

「待ってください、島田さん。私も、行きます」
「千尋!?」
「いけません!絶対に君たちをここから出すなと、副長が仰せです」
「ですが、風間千景たちの狙いは私たち。流石に狙われているのが私たちなのに、皆さんばかりにお任せはできません。それに、私は風間千景と同じ鬼……同胞である私なら彼らを説得できるかもしれません」

説得なんて、そんな簡単なものじゃないかもしれない。 だけど同胞である私の言葉なら多少は、風間千景も聞いてくれるかもしれないと思ったのだ。

島田さんは私の事を困ったように見ながら、かなり悩んでいた。
だけどやがて小さく頷く。
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