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君ノ為蒼穹に願ふ【薄桜鬼真改】

第9章 修羅【土方歳三編】


「……これは、私の単なる予想ですが。南雲薫、あの人がもしかしたら、千鶴の本当の兄である雪村薫の可能性があります」
「え!?」
「南雲薫ってあれだよな、左之の制札警護の時に邪魔したかもしれねえって女だよな?でも、女なんだろう?」
「千尋、薫さんは女の人なんじゃ……」
「性別を偽っているかもしれない。それにあの人、千鶴に瓜二つでしょう?それに、あの人は鬼の気配がした」

もし、南雲薫があの薫だとしたら……。
何故、性別を偽り自分が薫だと言わないのか、そして何故あの時新選組の邪魔をしたのかが気になる。

「でも、あの子が千鶴ちゃんの双子の兄だとしてもおかしくはないよね。だってあんなにも瓜二つなんだから。あ、だから千尋ちゃん、あの子を見た時に追いかけたんだ」
「はい。あの人が、雪村薫なのかどうかを確かめたくて」

でも逃げられてしまって、その真相は聞けなかった。
次会った時は必ず聞かなければ……南雲薫さんは、千鶴の双子の兄であり、私の親戚でもある薫なのかどうかをーー。


あの後、広間で私たちは各自解散をした。
私は千鶴の部屋にいて、彼女が『里の話を聞かせてほしい』と言ったので、雪村の里を話をしていた。

「……話を聞いたら、何か思い出せるかなと思ったけど。何も分からないや」
「……無理に思い出そうとしなくていいんだよ。それに辛い記憶だから、思い出さない方がいいかもしれない」
「それは嫌だ!ちゃんと思い出したいの……怖いけど」

千鶴はそう言いながら思い出そうとしていた。
私からしたら、あんな辛い思い出を思い出そうなんてしないでほしい。
あんな記憶は忘れることが出来るのなら、忘れたいから。

「そういえば、千尋が血が苦手で侍が嫌いな理由は……里が滅ぼされたから?」
「うん。あの時、血を沢山見たからそれ以来苦手で……血を見る度に里のことを思い出して過呼吸になったり、吐き気とか目眩がしちゃって」

里を滅ぼされた時に、沢山の血を見た。
そして沢山の里の者が殺されていくのを見たせいで、血はとても苦手になってしまったのだ。
同時に、襲ってきたのが侍だったから、侍も苦手になってしまった。

「刀を持ってる人も苦手で、最初は新選組の人たちも苦手だったなあ……。今は、そうじゃないけど」
「私も、最初は苦手だったよ。でも今は違う」
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