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君ノ為蒼穹に願ふ【薄桜鬼真改】

第9章 修羅【土方歳三編】


私は純血ではない。
父は純血の鬼ではあるが、母は純血の鬼の祖父と人間の祖母の間に生まれた鬼だった。

純血ではないが、純血に最も近い血を持っている。
だから風間は千鶴だけではなく、私も狙っているということなのだ。

「なるほど……」
「風間は、必ず彼女たちを奪いにくるでしょう。今の所、本気で仕掛けてきてはいないようですが……それがいつまで続くかはわかりません。そうなったとき、あなた達が守りきれるとは思えない。たとえ新選組だろうと、鬼の力の前では無力です」

お千ちゃんの言葉に、永倉さんが異を唱えた。

「……なあ、千姫さんよ。無力ってのは、ちと言い過ぎじゃねえか?」
「新八の言う通りだ。ちっとばかし、俺たちを見くびりすぎだぜ」
「今まで互角に戦うことができたのは、彼らが本気ではなかったからです」

鬼の力は遥かに強い。
今まで風間千景たちは本気を出してはいなかったのは、私も知っている。

本気を出していれば、今頃は彼らは生きいなかったかもそれない。
それほどの力を、鬼は持っているのだ。

「では、本気になってもらおうではありませんか。本物な鬼の力とやらを、見せて頂きたいものですね」
「山南さん、それは……」
「それは、辞めておいた方がいいです。鬼の、それも男鬼であり純血の風間は相当の力を持っていますから……」

風間が本気になれば、どうなるか想像もしたくない。

「雪村妹まで何言ってやがるんだ」
「……土方さん」
「……新八の言う通りだ。確かに連中は、人並み以上の力は持ってやがったが……絶対に勝てねえ程の力の差はなかった。たとえ、奴らが多少の手加減してたとしてもな」
「そうですね。こっちには、泣く子も黙る鬼副長がいますし」
「総司、てめえは黙ってろ」

彼は確かに強い。
今まで彼らはどんな相手にも負けずにいたけれども、人と鬼とじゃ力が違いすぎる。

「お気持ちはよくわかりますが……実際には、そう簡単ではないことはわかっていらっしゃるでしょう?あなた達の役目は京の治安を守ることであって、彼女たちを守ることではないのですし。ですから、私たちに任せてください。私たちなら彼女を守りきれます」

お千ちゃんの言葉に、永倉さんは眉を少しだけ釣り上げていた。
守りきれないと言われたことに怒っているような、そんな表情をしている。
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