第2章 新選組【共通物語】
「せめて、何か役に立てればと思うけど……」
確かに千鶴と同じく役に立てればと思うけれど、隊務の事もこの屯所の事も何も知らない。
それに土方さんからは『部屋に籠っていろ』と言われている状態。
「ふう…」
「多分、隊士さん達からは幹部の人達が何かにつけて私たちの事を気にかけているのが、懇意にしてるように見えてるんだろうね」
「……あの人たちは、ただ私たちを見張っているだけなのに」
幹部の人達は、私たちが余計な事を口走らないように代わる代わる監視をしているだけ。
懇意にだと全くしていないけど、事情を知らない隊士さん達には懇意にしてるように見えているのだろう。
かといって、事情を知らない人に本当のことは話せれない。
出来るだけ、ひっそりと生活していくほかないのかな。
「早く、父様を捜しに行きたいね」
「……うん」
私たちは未だに屯所の外に出してもらえていない。
せっかく手がかりを掴めたと思ったら、足止めを食らっているような状態。
「千尋、土方さんに父様を捜しに行けないのか聞いてみようかな……」
「でも、確か土方さんは大阪に出張してるはずだよね」
「……部屋で、大人しくしておこっか」
そう言って私たちはがらんとした部屋を見渡しながら、同時にため息を吐いた。
小綺麗な部屋ではあるけれども、千鶴と私がいる部屋は殺風景。
居心地が悪いわけじゃないけど何もする事がないというのは少し辛い。
「……父様が居ない時の手持ちぶたさな時間には慣れたつもりだったけど」
父様は家を長く空けることは多かった。
なので、よく家では私と千鶴の二人っきりの留守番が多くて手持ちぶたさな時間には慣れていたつもりだった。
「そうだね…」
「でも、父様が帰ってくるとわかってたからだったけど……」
今は先が見えない。
だから余計辛く感じてしまうのだろう。
「いつになれば、父様を捜しに行けるんだろう……」
「捜しに行きたいのに……」
また、同時にため息を吐きかけた時だった。
「捜したぞ、雪村君達!ここに居るとは思わなんだ!」
眩い笑顔を浮かべた近藤さんが、お盆を片手に現れた。
「近藤さん……おはようございます」
「あ……ど、どうも」
「……いや、待てよ?もしや、ここが君たちの部屋なのか?」
「……はい、一応。千尋の部屋は隣ですが……」