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君ノ為蒼穹に願ふ【薄桜鬼真改】

第8章 軋み【土方歳三編】


ー慶応二年・十二月ー

年号が慶応になって二年目。
師走を迎え、風が冷たくなり寒い時期が訪れ、白い息を吐きながら私と千鶴は境内の掃除をしていた。

「落ち葉も、大抵は集められたかな……。千鶴、終わった?」
「うん、だいぶ集められたよ」
「お、境内の掃除をしてくれていたのか?助かるな」
「あっ、近藤さん」
「近藤さん、こんにちは」

私達が掃除をしていると、近藤さんが現れて相変わらずの優しい笑顔を浮かべていた。

「近頃はだいぶ、風も冷たくなってきましたね」
「うむ……。京に来てからずいぶん経つが、この寒さにはどうも慣れんな」
「確かにそうですね。江戸より遥かに寒いですし」

私と千鶴も、京にきてずいぶん経つけれども未だにこの寒さには慣れない。
江戸と違って、風の冷たさも寒さも全く違って凍えてしまうかと何度も思った。

近藤さんは小さく【本当に寒いなあ】と呟きながら、両手をこすり合わせてから、手に息を吐きかけていた。
その息はすぐに白くなってしまう。

「近藤さん、あとで熱めのお茶をお持ちしましょうか?」
「ああ、是非頼む。それと千尋君、あとでトシにも持っていってやってくれ」
「わかりました」
「あ、実はせっかく落ち葉を集めたので、あとで焼き芋をしようと思うんです。よかったら、近藤さんも一緒にいかがですか?温まると思いますよ」

千鶴の言葉に、近藤さんはとても懐かしそうな表情を浮かべた。

「焼き芋か……昔はよくやったもんだが」

懐かしそうだけども、近藤さんは忙しい立場だから恐らく焼き芋をする時間は無いのだろう。
残念そうな表情をしながら、落ち葉を見ていて、千鶴はそんな彼を見ながら言葉をかけた。

「……近頃、お忙しいみたいですけど、お身体は大丈夫ですか?」
「ん?まあ、こういう時代だからな。忙しいってことは、それだけ、新選組が頼りにされてるってことだ。名誉なことさ」
「そうですね……」
「それに、最近はコンを詰めていると千尋君を見習ってか、相馬君と野村君に無理矢理休めさせられるんだ」
「そ、相馬君……野村君……」

そこは、見習わなくて良かったのに。
私は近藤さんに申し訳なさを感じてしまい、顔を俯かせてしまった。
だけど、時には無理矢理にでも休ませないといけないので、彼らに注意は出来ない。
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