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君ノ為蒼穹に願ふ【薄桜鬼真改】

第8章 軋み【土方歳三編】


ニヤニヤとする沖田さんを土方さんは睨め付けていれば、後ろでふすまが開く音が聞こえた。
誰なのだろうと思いながら振り返れば、そこには山崎さんと島田さん、そして相馬君と野村君の姿がある。

四人は私と千鶴を見るなりその場で固まる。
そんな彼らを見ていた沖田さんは、本当に楽しそうに笑っていて、直ぐに正気に戻ったのは島田さんだった。

「局長達に、雪村君達が女性の格好をすると聞いてましたが……。驚きました、二人ともとてもお似合いですよ!ねえ、山崎君たち」
「あ、ああ……。とても似合っている」
「えええ!?雪村先輩達なのかよ!?ええええ!!」
「うるさいぞ、野村君!」

野村君が叫べば、直ぐに山崎さんの叱責が飛んだ。
そして、野村君の隣にいた相馬君は、ずっと千鶴を見ながら目を見開かせて固まっている。

「相馬君さあ、固まってないで君もなにか言えば?土方さんも早く褒めてあげたらどうです?あ、それとも……二人とも千鶴ちゃんと千尋ちゃんの姿に見惚れて言葉が出ないとか?相馬君は千鶴ちゃんから目が離れてないようだし、土方さんはさっきから千尋ちゃんばっかり見てるし?そっぽ向いたりしてるけど」
「お、沖田さん!」
「うるせえぞ、総司!」

相馬君は顔を真っ赤にさせながらも、確かに沖田さんの言う通り千鶴から目を離せていなかった。
でも、土方さんは私ばかりを見ていたのだろうかと思いながら彼へと視線を向ける。

(沖田さんはああ言ってたけど、私が見たらそっぽ向かれるんだけど……)

なんでだろうと首を傾げていれば、相馬君は咳払いをしながら千鶴へと言葉をかける。

「その、雪村先輩。よくお似合いです……」
「あ、ありがとう……相馬君」

相馬君が褒めれば千鶴は照れたように頬を赤く染めていて、私はその姿になんとも言えない気分になる。
すると、沖田さんはまたニヤニヤとしていた。

「あれ、相馬君。褒めるのは千鶴ちゃんだけなの?」
「い、いえ!!その、妹君の雪村先輩もよくお似合いです!!二人とも、とても素敵です!」
「……相馬君。私の事は無理して褒めずに、千鶴だけでも良いんだよ?」
「無理なんてしません!本当ですからね!?」

あたふたしている相馬君を見ていれば、近藤さんがゆっくりと立ち上がって皆へと声をかけた。

「そろそろ御仁が来られる時間帯だから、出迎えに行こう」
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