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君ノ為蒼穹に願ふ【薄桜鬼真改】

第7章 混沌【土方歳三編】


原田さんは眉間に皺を寄せる。
その目つきは厳しいものであり、千鶴は思わず身構えてしまっていた。

「いや、実はだな……。立て札を引っこ抜こうとした土佐藩士を取り囲んだ時、千鶴によく似た顔の女に邪魔されて、囲みを破られちまったんだ」
「えっ……?」
「千鶴によく似た女……?」

宴席は原田さんの言葉に、水を打ったように静まり返る。
そして、千鶴は目を見開かせながら困惑した表情を浮かべていた。

千鶴によく似た女。
その言葉に、全員が困惑したようにしていれば、永倉さんが空気を帰るように口を開いた。

「ええと……まあ、そんなときもある!何にせよ、今日は左之のおごりだ!朝まで呑もうぜ!」
「さ、賛成!今日は、限界に挑戦してやるぜ!」

慌てたように場を取り成しをしようとする永倉さんと平助君だが、千鶴は顔を俯かせながら目を困惑で揺らしていた。
そして私も困惑が隠せずにいて、原田さんへと視線を向ける。

千鶴は昨晩は一緒にいた。
だがら、原田さんを邪魔をしたのは千鶴じゃないのは確実だけども、なんだか複雑というよりも引っ掛かるものがある。

(千鶴に似た女……)

脳裏にある一人の女性が思い浮かんだ。
もしかしたら……と思っていれば、沖田さんが千鶴に声をかける。

「……さっきの左之さんの言葉、気にしてるの?」
「あっ、えっと……、はい。私にそっくりって、一体どういうことなのかと思って」
「もしかしたら、狐憑きってやつかもしれないね。眠ってるうちに狐に操られて、自分でも気付かず京の町を徘徊してるとか」
「……そう、なんでしょうか……?」
「……沖田さん、千鶴をからかわないでください。真に受けてるじゃないですか」

素直な千鶴は、信じてしまっているようで、私は眉間に皺を寄せながら沖田さんに言えば、沖田さんは呆れたようにため息を吐く。

「……あのさ、千鶴ちゃん。冗談に決まってるでしょ?いちいち深刻に受け止めないでくれる?つまらないから」
「あっ、ごめんなさい……!」
「いや……千鶴は謝る必要ないよ。沖田さんが冗談を言ってからかうのが悪いから」
「ほんと、千尋ちゃんは過保護だよね。まあ、それはそれとして……覚えてる?前に、平助と一緒に巡察に出た時、千鶴ちゃんとそっくりな女の子に会ったでしょ」
「……南雲薫」
「あっーー」
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