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君ノ為蒼穹に願ふ【薄桜鬼真改】

第1章 始まり【共通物語】


土方さんの怒号に震えた千鶴を見て、私は千鶴の腕を引っ張ると自分の背中に隠すようにした。
そして睨みつけてくる土方さんを、逆に睨むように見る。

「父は、お医者様の仕事で京に来たはずです。去年の夏に突然連絡が途絶えてそのままです…!」
「土方君……どうやら、本当に何も知らないのかもしれませんよ」
「あの……父の事をご存知なんですか?父はどこにいるんですか?教えてください!」
「先程も話しましたが、私と千鶴は江戸から父を捜しに京まで来ました。父の事をご存知なら、父がどこにいるのか教えてください……!」

私たちの言葉に返答をしたのは、ずっと沈黙していた斎藤さんだった。

「……綱道さんの行方は、現在、新選組でも捜している」
「新選組が、父のことを……!?それってもしかして……」
「あ、勘違いしないでね。僕たちは綱道さんを狙ってるわけじゃないから」
「……そう、ですか」

思わず私と千鶴はほっとしてしまった。
新選組が父様を捜していると聞いて、二人とも嫌な方へと想像してしまっていたようだ。

「同じ幕府側の協力者なんだけど……。実は彼、夏から行方知れずなんだよね」
「幕府を良く思わない者たちが、綱道さんに目をつけた可能性が高い」
「そんな…」
「……生きている公算も高い。蘭方医は利用価値がある存在だ」

確かにそうだ。
蘭方医は利用価値が高い為、狙われることもあるという話を父様から聞いていた。
だから、幕府側の協力者である父様を幕府をよく思わない者たちが攫い、利用しようとしているかもしれない。

悪い方に考えないようにしながら、私と千鶴はぎこちない頷きをした。
二人とも言葉が出ない、だって悪い方に考えないようにしていても不安しかないのだから。

「……近藤さん、どうでしょうか。同じ人物を捜す者同士、彼女たちに手を貸してあげてはいかがかと」
「手を貸すとは、どういうことかね?」
「綱道さんが見つかるまで、互いに協力し合うと言うことです。彼女たちに協力してもらうことで、綱道さんが見つかる可能性は格段に上昇するでしょう」
「「……え?」」
「私たちがいくら捜しても、姿形を変えられてしまっては見抜くことは難しい。ですが、綱道さんの娘たちである君たちならば、身なりが変わっていようと看破できますね?」
「……もちろんです」
「……はい」
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