• テキストサイズ

君ノ為蒼穹に願ふ【薄桜鬼真改】

第1章 始まり【共通物語】


「……悪いが、おまえたちの荷物を改めてさせてもらったぜ。どうやら江戸からはここまで、二人で来たみてえだな。荷物はわずかな着替えと一月分の小銭、それと数通の手紙とこの小太刀と刀」

土方さん達の前には、私と千鶴の荷物と小太刀と刀が置いてあった。
先程、土方さんが調べたい事が有ると言っていたのは私たちの荷物の事なのだろうかーー。

「手紙には、幕府御典医の松本良順の名前があった。おそらくそこを訪ねたんだろう……。おまえらの目的は何だ?ーー雪村千鶴、雪村千尋」

私たちの名が発せられた瞬間、何故か部屋の空気が一瞬で変わった。
目を見開かせている人、言葉を失っている人、色んな表情をした皆が私と千鶴に視線を向けてくる。

「土方さん……その名前は……」
「おいおい……偶然にしちゃできすぎだぜ」
「まあ、待て。それを判断するためにも、まずは君たちの話を聞かせてくれるかな?」

近藤さんに促されて、千鶴は口を開いた。

「……私は、雪村千鶴と言い、こっちの子は私の双子の妹の雪村千尋と言います」

千鶴はゆっくりと幹部の人達の話を始めた。
もともとは江戸住まいであること、連絡の途絶えた父様を探しに京へきたこと……。

「そうか……出身も江戸だったのだな!父上を捜して、双子の姉妹で遠路はるばる京に来たのか!して、お父上は何という方かね?」
「はい。父は雪村綱道という蘭方医です」
「ーー繋がったな」
「え……?」
「繋がった……?」

繋がったというのは、一体どういう事なのだろう。
そう思いながら眉間に皺を寄せていれば、山南さんが私と千鶴に届けられた父様の手紙を開いていた。

「あなた達が持っていた手紙の筆跡、これはまさに綱道さんのものでしたが……。まさか本当に綱道さんのご息女たちとはね」
「父を、知っているんですか……?」
「何故、父の名前を……」

千鶴と私の言葉に、皆何故か複雑そうな顔をしている。
戸惑ったような、困り果てたような、なんとも言えない沈黙を破ったのは土方さんだった。

「……何処まで知ってる?」
「……何処まで?」
「何処までって、何がですか……?」
「いいから洗いざらい全部吐け!何しに京に来やがった!」
「わ、私たちは……父を捜しに来ただけで、他には何も……」
「親父の綱道さんが、何をしてるか知っててここに来たんだろうが!」
/ 768ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp