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君ノ為蒼穹に願ふ【薄桜鬼真改】

第7章 混沌【土方歳三編】


そして、斎藤さんは相馬君たちの言葉に静かに頷いた。
その頷きは彼らの考えに同意する意味のもの。

「ああ。あんたたちの推測は正しい」

斎藤さんに言われた相馬君たちは、穴が開くほどに千鶴と私を見つめてくる。
まるで、私たちに確認を求めているような目なので、私と千鶴はお互いの顔を見合わせた。
そして、肯定する意味で彼らに小さく頷く。

「私たち………………女です」
「男ではない……です」
「うそだろ!?」
「ほ、本当に……本当にですか!?」

信じられないと言わんばかりに、相馬君達は目を見開かせながら叫んだ。
そんな彼らに沖田さんはため息を吐く。

「だから本当って言ってるでしょ。それとも三木が言ってたみたいに、脱がさないと信用できない?」
「めっ……滅相もありません!俺は信じます!」

まさか、二人とも私たちが女だとは全然気が付いて居なかったらしい。
わかる人にはわかる男装だから、薄々とは気付いているのかなとは思ってはいたのに……。

しばらく、相馬君と野村君の様子を見ていた土方さんは、彼らの反応を見てからため息を吐く。
呆れたような表情をしながら。

「どうもこの様子だと、欠片も気付いてなかったらしいな」

少し経ってから、ようやく相馬君と野村君は落ち着いたみたいだ。
深呼吸をしながら、息を整えていたが、逆に意識してしまっているのか、ちらちらと私たちへと視線を向けてくる。

「その……雪村先輩たち。気付かなかったとはいえ、これまでいろいろと失礼しました」
「そうだね。あの時、千鶴をべたべた触っていた時は本気で切ろうか迷ったよ」
「も、申し訳ありませんでした!!」
「……冗談だよ」
「千尋ちゃん、冗談じゃないでしょ。今のは」
「そんなことないですよ……あははは」

沖田さんの言葉に私はそっぽを向きながら小さく苦笑を浮かべていた。
すると野村君は、恐る恐ると質問をする。

「でも、なんで女が男装して副長付きの小姓なんてしてるんですか?」
「彼女たちはとある理由から、自分の父親を捜すために新選組に身を寄せている。今は、それで納得してくれないかな。詳しいことについては、また話す時が来たら話そう」
「どちらにせよ……新選組の秘密を知った以上は、もう引き返せねえからな」

土方さんの言葉に、相馬君たちは身を震わせながらもしっかりと頷いていた。
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