• テキストサイズ

君ノ為蒼穹に願ふ【薄桜鬼真改】

第7章 混沌【土方歳三編】


この雰囲気はとても危険だ。
もしかしたら、流血沙汰も待った無しかもしれないと慌てた時だった。

「ん?おいてめえら、なんかあったのか?」
「あ……」
「永倉さん、沖田さんに平助君も……」

私たちの元に来たのは、永倉さん達であり、彼らの姿を見て千鶴と共に思わずほっとした声が漏れてしまった。
すると、三木さんは彼らを見てから面倒くさそうな表情を浮かべる。

「はっ……余計な奴らが来やがったぜ」

三木さんは忌々しそうに顔を歪めながらも、直ぐにその場から去ってしまった。
彼が居なくなったことに安堵を覚えていれば、永倉さんたちは不思議そうにお互いの顔を見合わせている。

「なんだ、三木の奴……。ずいぶん剣呑な雰囲気だったけど、何があったんだよ?」
「……あの男が因縁をつけてきたんです。雪村先輩たちが……実は女ではないかと」
「……あんだと?」
「そうなんですよ。だから、俺がビシッと言ってやりましたね!【いったい先輩たちのどこが女だってんだ!失礼にも程があるだろ!】ってーー」

野村君の言葉を聞いた永倉さんは、静かに彼の頭に拳を落とした。
すると野村君は痛さに声を上げながら、涙目になっていた。

「ってえー!何するんですか!?」
「失礼なのはてめえだ!」
「おまえは悪くねえけど……、おとなしく二、三発殴られとけ!」

野村君は何も悪くない。
けれど、彼は次に平助君にまで殴られてしまい、それを見ていた沖田さんは大笑いしていた。

ひいひいと涙目になるまで笑っていた沖田さんは、目元に浮かぶ涙を拭っていた。
そんな彼を野村君は痛みで涙目になっている瞳で、不思議そうに見ている。

「いやいや、知らなかったとはいえ、面白いことするよね。二人とも」
「笑い事じゃないです……」
「そうですよ、沖田さん……」
「それで、大丈夫だったのか?千鶴と千尋」
「私はなんとも……千鶴が最初に絡まれていたので」
「何とか……でも三木さんには、完全に疑われてしまって……」
「伊東さんの差し金かな?まあ、一応バレなくてよかったじゃない」

沖田さんたちはそう話ながらも、不思議そうにしている相馬君と野村君へと視線を向けた。
そして、平助君は困ったようにため息を吐きながら口を開く。

「三木を止めてくれたのはこっちとしてもありがてえけど……」
「とりあえず、おまえらの処分は土方さん待ちだな」
/ 768ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp