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君ノ為蒼穹に願ふ【薄桜鬼真改】

第7章 混沌【土方歳三編】


土方さんは苦い表情を浮かべ、私は思わず眉間に皺を寄せてしまった。

「しかも、それだけじゃ飽き足らねえ。元の形を留めねぇくらい、死体をバラバラに切り刻んだりしやがる。新選組の所業だと気付かれねえようにする為とはいえ……ありゃ、いくら何でもやり過ぎだ
「バラバラに……」
「新選組は人殺し集団じゃねえ、死体で遊ぶのはやめろと、いくらいさめても直らねえ。あれじゃ、辻斬り連中と変わらねえ」
「むう……」

死体を元の形に留めないくらに、バラバラに切り刻む。
その言葉に思わず、あの夜、初めて羅刹を見た時を思い出して背筋がぞくりと震えた。

そして、土方さんの言葉に近藤さんも苦い表情を浮かべていた。
羅刹隊のことは、土方さんも近藤さんも頭を悩ませているみたい。

「……ま、いくつか手を考えてみるか」
「そうだな。細かいことはトシに任せるよ。ところで、この間聞いたところによると、将軍後見職の一橋慶喜公がだな……」
「あの人か。家康公の再来なんて言われてるそうだな。確かに頭はいいのかもしれねえが……」

私はそろそろ席を外した方がいいかもしれない。
そう思い、土方さんと近藤さんに挨拶をしてから、本来の目的である屯所の入口前の掃除に取り掛かった。

掃除をしながら、ふと土方さんが言っていた言葉を思い出した。
羅刹隊が死体を切り刻んでいるという話を思い出しながらも、確かに最近、山南さんが率いている羅刹隊の様子はおかしいのだ。

(以前より、気性が荒くなってるよね……)

それに、気になるのは制札の事もだった。
立て続けに制札が抜かれるだなんて、平和な事じゃないから……。


日差しの強さも無くなった夜。
千鶴の部屋には私以外にも、食事当番について話し合う為に井上さんと島田さんもいた。

「それじゃあ明日の夕飯は私と千鶴君、朝は島田君と千尋君の担当でいいかい?」
「朝は俺と千尋君だけですか。それだと少し手が足りないので、誰か手伝いを頼んでもいいですか?」

確かに朝は少し忙しい。
夜は外食に出る隊士さんもいるけれど、朝はどうしても人数が多いので大変だ。
すると、千鶴が何かを思い出したように口を開く。

「あ……それでしたら、相馬君と野村君を連れていってあげてくれませんか?」
「おや、小姓の二人をかい?」
「はい。食事の準備について二人にと教えておきたいですから」
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